インドにおける日本人投資家の戦略的投資

By Rishabh Shroff、Cyril Amarchand Mangaldas
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世界第6位の経済大国となったインドは、今後10年間にわたって成長を続けると予想されています。その成功と成長の主な要因となったのは、豊富な機会、人口構成、低コスト生産、法規範が引き寄せた外資の導入です。

インドは、コロナ禍の影響にもかかわらず、インバウンドおよび既存の国内投資を転換する政府の施策を継続したことにより、2021年4月から12月までに603億米ドルの外国直接投資を受けました。

インド政府は、日本のような戦略的パートナーの間で投資先のトップとしての地位を維持し、事業のしやすさを促進するために、複数の規制改革と緩和を導入しましたが、それらは2022年2月1日に発表された2022~2023年の連邦予算にも反映されています。

日本は、インドの健康部門、サプライチェーン、モビリティあるいはロボット工学部門に強い関心を示しており、インドにとっては第4位の投資国です。日本の政府開発援助プログラムや、インドのスタートアップ企業と日本企業をつなぐ共同の日印スタートアップ・ハブなど、両国による継続的な取り組みが、引き続きこの戦略的パートナーシップを強固なものにしています。

本稿では、日本の対インド投資を奨励、強化する主な要因について検討します。

戦略的パートナーシップ

インドと日本の正式な外交関係は、多国間のサンフランシスコ平和条約の調印ではなく、両国が二国間の平和条約を選択した1952年に遡ります。以来、70年にわたる関係は、世界的な戦略的パートナーシップへと発展してきました。

70周年のテーマである「Building future for our Centenary(100周年に向けた未来の構築)」は、100周年に向けた関係を継続することを明確に目指したものです。

Rishabh Shroff, インドにおける日本人投資家の戦略的投資
Rishabh Shroff
パートナー兼プライベートクライアントの共同責任者
Cyril Amarchand Mangaldas(ムンバイ)
Eメール: rishabh.shroff@cyrilshroff.com

インドはすでに、マルチ・スズキ、トヨタ・キルロスカ・モーター、いすゞモーターズ、日鉄、パナソニック、日立、ホンダ、無印良品、ユニクロなど、さまざまな有名日本企業の長期的な拠点となっています。日本貿易振興機構(ジェトロ)と日本大使館によると、インドには全体で1,455社の日本企業が進出しています。

日本はインドの経済および産業発展の促進において重要な役割を果たし、手ごろな融資、補助金、技術共有の取り組みやスキームを通じて最大の貸し手となっています。国際協力銀行が2019年に実施した調査では、日本企業にとっての中期的(今後3年程度)な有望事業展開先国として、インドが第1位になりました。インド最大のテクノロジー産業の業界団体であるNasscom(ナスコム)が2021年11月1日に野村総合研究所と共同で発表した報告書によると、日本の対インド投資は2016年以降、4倍に拡大し、10万2,000件の雇用を創出しました。

インドにおける投資機会

連邦予算によって現在、保険、グリーンエネルギー、人工知能、インフラなど、さまざまな部門で多数の制度や緩和措置が強化され、インドが魅力的で投資しやすい国として位置づけられ、日本などの戦略的パートナーからの投資の呼び込むにつながっています。

生産連動型インセンティブ(PLI)スキーム: 2年前に開始されたPLIスキームは、5年間の売上の増加分に応じて4~6%のキャッシュバックを製造業者に提供するものです。新たな製造業者に対する税率がアジアで最も低い17%に引き下げられたことも相まって、日本の投資家はこの部門に資する製造業のエコシステムを期待することができます。

インドでは、PLIスキームの下で日本企業から多数の申請を受理しました。中でもダイキンは大きな関心を示し、インドを西アジア、中東、南米、およびアフリカの生産拠点とすべく、アンドラ・プラデシュ州のスリ市に3番目の生産拠点を設立しました。

グジャラート国際金融テックシティ(GIFTシティ):GIFTシティは、ドバイ国際金融センターのような世界的な金融の中心地となることを目指しており、熟練した専門家集団を擁していることに加え、進歩的な税制の導入や、インドで唯一オフショア取引ができる場所であるなど、継続的な優遇措置が発表されています。

国内外の投資家を魅了しているGIFTシティは、広範囲にわたる現地法の遵守に煩わされることもなく、インドで事業を展開したいと考える日本企業にとって、最適な選択肢です。

デジタル化: コロナ禍により、インドでは急速にデジタル変革が進み、Eコマースのエコシステムが発展しました。インドジェトロ事務所長である村橋靖之氏は、次のように述べています。「コロナ禍でのインドのデジタル部門の成長は目覚ましく、多くの日本企業がインドのエコシステムに注目しています。」 日本の投資は、ITやスタートアップのエコシステムへの投資を通して、インドにおける技術職の創出に大きな役割を果たしてきました。日印デジタル・パートナーシップと日印IT回廊は、この部門の魅力をさらに増しています。

コロナ禍による減税:コロナ禍期間中に製造業部門やスタートアップ企業が直面した困難に注目し、政府は予算において法人税率を15%に引き下げることを提案し、新規設立される製造企業を救済しました。

刺激的なスタートアップ経済:インドでは、2022年1月31日現在、16,737社のスタートアップ企業が認定されています。特許出願費用の8割削減、コンプライアンス基準の引き下げ、3年間の免税期間、投資家の節税など、インドのスタートアップ企業は最高の機会に恵まれています。また前述の日印スタートアップ・ハブによって、スタートアップ企業、投資家、インキュベーター間の連携が促進されています。Nasscomの報告によると、100を超える日本の投資家が、少なくとも240社のインドのスタートアップ企業に出資しています。2021年5月までに、インドのスタートアップ企業への日本の投資額は92億米ドルに達し、21万7,000件超の雇用を生みだしました。

自立したインド(Atmanirbhar Bharat Abhiyaan):自立と自給自足の原則に基づき、ナレンドラ・モディ首相が掲げる「自立したインド(Atmanirbhar Bharat Abhiyaan)」政策は、現地生産を後押しする生産連動型インセンティブです。この政策のビジョンは、「Make in India for the world(世界のためにインドでモノづくりを)」であり、インドの零細・中小企業部門に無担保自動融資を行い、ベトナムやミャンマーなどの競合国をはるかにしのぐ技術インフラに加え、低関税製造体制への道を外国人投資家に提供しています。

部門別の将来性

インフラ、鉄道、自動車などの部門は今後も外国からの投資の関心を集めるでしょうが、以下の部門は日印間の経済発展の新しい波の到来を告げる可能性があります。

インフラストラクチャー:予算においても、例えば、鉄道、幹線道路網、多様な国立公園をはじめとするインフラ部門への投資拡大に重点が置かれています。「One Product, One Railway Station(1駅に1製品)」を提案する計画では、鉄道を利用した地場産品のサプライチェーン促進に注力します。 この計画では、今後3年間で、準高速列車「バンデバラト・エクスプレス」を新たに400両導入し、ターミナルを100カ所設置することが提案されました。日本の新幹線技術を利用したムンバイとアーメダバード間をつなぐ高速鉄道建設を促進する熱心な取り組みにより、この予算によって、インドと日本に現行の国際経済関係を踏まえた新たな機会が提供されます。

電気自動車(EV):インドにおけるEV市場は、2025年までに70億米ドルのビジネスチャンスを創出すると見込まれています。インド政府は、今後10年間でインドの二輪車と三輪車の40~50%をEV化する計画を掲げ、すでにハイブリッド車およびEV車の早期導入・製造スキームを導入しており、フェーズIIを2024年3月31日まで延長しています。

FDI上限の引き上げ:インドの石油・天然ガスおよび通信部門では、自動(承認)ルートによる外国からの直接投資の上限が最大100%まで引き上げられました。インドは2021年、より多くの資本流入を呼び込むため、政府の事前承認が不要な自動(承認)ルートによる保険部門のFDIの上限を49%から74%に引き上げました。政府はすでに2015年には、保険部門のFDIの上限を26%から49%に引き上げていましたが、それ以前に保険仲介業者への100%のFDIを認めていました。

Eコマース:コロナ禍で多くの産業が躍進する中、Eコマースは薬局、衣料品、エドテクノロジー、耐久消費財などの部門で大きな成長を遂げています。オンライン小売市場は現在、組織化された小売市場全体の25%を占めると推定され、そのうち電子機器と衣料品がEコマース市場の約70%を占めています。

日本工業団地:日印投資促進パートナーシップのもと、12カ所に統合された「日本工業団地」が設置され、日本企業が円滑に製造拠点を設立できる環境が整えられました。投資家には、電力使用税、土地取得税、印紙税などに実質的な税制優遇措置が提供されます。

以下の形態の組織による支援があります。(1)ジャパン・プラス(商工省内)が、日本人投資家にワンストップの問題解決窓口を提供し、(2)ジェトロの総合ビジネス・サポートセンター(5拠点)が、インド市場に進出する日本企業に幅広いコンサルティングサービスを提供します。

2021年8月、バンガロール商工会議所は、ビジネス界の支援と日印関係の強化のために、ジェトロ、豊田通商インディア、インタートレード株式会社、ならびにインド総合研究所との覚書に署名しました。

結論

日本とインドは、インドへの投資機会と日本の技術や資本プールを組み合わせることで、世界レベルでの日印パートナーシップの強化、およびアジア亜大陸における勢力均衡の再構築に尽力しています。日本の投資家が投資先やターゲットとする市場の観点からインドを評価する場合、上記に挙げたさまざまな要素は、インドがアジアへの事業展開拠点となる十分な根拠となります。

Cyril amarchand

Cyril Amarchand Mangaldas
Peninsula Chambers, Peninsula Corporate Park
Lower Parel
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Japan Outbound Investment Guide