ChatGPT時代のデータプライバシー

By Ashima Obhan とSeerat Bhutani,Obhan & Associates
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OpenAIの開発したChatGPTは、2022年11月の公開以来、世界中で大きな注目を集めています。競合として、GoogleのBardやMicrosoftの新しいBingといった、類似の人工知能(AI)アプリケーションも登場しました。こうしたAIアプリケーションは革新的技術であり、出力結果でユーザーを感心させています。一方で、データプライバシーに関する懸念事項もあるため、利用には注意が必要です。

Ashima Obhan
Ashima Obhan
シニアパートナー
Obhan & Associates

こうしたAIモデルは、インターネット上から集められた膨大な量のデータによって訓練されています。データポイントには、インターネットでアクセスできる本、論文、ブログ記事、ウェブサイト、そして個人情報すら含まれています。ChatGPTの利用全般に関するFAQでは、そうしたデータには会話も含まれるとされています。そのため、AIが非常にリアルでまるで生きているように感じられます。しかし、そうした会話のデータがどのように集められたのか、ユーザー同士でのオンラインチャットが含まれているのか、データ収集に対する同意を得ているのかについては説明がありません。

重要なことに、ChatGPTや類似のアプリケーションによって収集されたデータには、著作権で保護された内容が含まれています。論文、本、ブログ記事といった著作権で保護されたコンテンツが、ChatGPTによる出力結果として生成される可能性があるのです。さらに、ユーザーやChatGPTが著作権者の同意を得ないまま、そうしたコンテンツがユーザーによって営利目的で使用される可能性があります。出力結果のユーザーによる商業利用に関するChatGPTのFAQには、ユーザーがChatGPTで作成した出力結果は当該ユーザー自身に帰属することを明らかにする一節があります。ここには、出力結果を転載、販売、取引する権利が含まれます。出力結果を生成したのが無料版であるか有料版であるかは問いません。この点において透明性が欠けているため、ChatGPTの生成する出力結果に著作権で保護された内容が含まれていることを、ユーザーは認識していないかもしれません。著作権者の助けになる情報は、OpenAIの利用規約3条(d)にのみ存在します。当該条項には、著作権に関する苦情申し立てのプロセスが定められています。

Seerat Bhutani
Seerat Bhutani
アソシエイト
Obhan & Associates

報道によって、従業員がChatGPTを利用する際に機密情報が漏洩してしまうことに関する、雇用主側の懸念が明らかになりました。そうした漏洩は、意図せず起きてしまう可能性もあり、従業員には警告がなされています。ChatGPTは、多くの業界において、調べ物、文書のレビュー、そしてソフトウェアのコードを書くことにすら利用されています。機密情報がChatGPTへの入力内容として提供されれば、それをChatGPTのデータベースから削除することは難しい可能性があります。ChatGPTの利用全般に関するFAQでは、ユーザーの履歴から特定のプロンプトを削除することはできないことが明らかにされています。続いて「会話の中で機微情報を共有しないでください」という1行の注意書きがあります。OpenAIはユーザーの入力内容をChatGPTの開発および改善に利用するため、出力結果が、従業員によって提供された機密情報を含んでいたり、そうした情報に似ていたりすることもあり得ます。これは大きなビジネスリスクです。初期設定ではデータが改善のために使われることとなっており、ユーザーが希望すれば、フォームを記入するという面倒なプロセスを経ることでことでオプトアウトが可能です。OpenAIは、個人を特定できる情報は、モデルのパフォーマンス改善に使用されるデータから除去されているとしています。しかしこれは、そうしたデータに機密情報が含まれるという懸念に対処するものではありません。

ユーザーがアカウントを削除すると、そうした情報も除去されるのかは不明です。アカウント削除は恒久的な措置であり、既存のアカウントを削除したユーザーは、その後アカウントを作成できません。そのためユーザーは、現在持っているアカウントの削除を躊躇するかもしれません。重要なことに、OpenAIのプライバシーポリシーで個人情報を削除する権利が認められているのは、カリフォルニア州民のみです。したがって、一旦入力して送信した機密情報を削除するのは困難である可能性があります。

こうした懸念に対処するため、ChatGPTおよび類似のアプリケーションは、著作権で保護された内容を含む入力や出力結果の使用について、ウェブサイトに明確かつ具体的な注意書きを掲載すべきです。アプリケーション側は、機密情報の入力に対してユーザーに注意を促し、送信された入力内容を削除しやすいプロセスを開発すべきです。サービス向上のために入力内容を使用するに当たっては、オプトアウトの仕組みではなく、ユーザーから明示的な同意を得るべきです。データプライバシーに関する法律やデータ収集の慣行を精査し、ChatGPTや類似のアプリケーションがそれらに従うようにすることが重要です。技術は急速なペースで進歩しており、法制度もそれに合わせて進化する必要があります。

Ashima ObhanはObhan & Associatesのシニアパートナーであり、Seerat Bhutaniは同事務所のアソシエイトです。

Obhan & Associates

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Advocates and Patent Agents

N – 94, Second Floor

Panchsheel Park

New Delhi 110017, India

連絡先詳細:
Ashima Obhan
電話: +91-9811043532
電子メール: email@obhans.com

ashima@obhans.com

www.obhanandassociates.com

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