インド破産・倒産法(IBC)は2016年の制定以来、司法判断による連綿とした解釈と現場に即した適用を通じて発展してきました。同法の核となる目的のひとつは、会社倒産処理手続(CIRP)におけるステークホルダー(債権者、暫定管財人又は管財人、及び再生計画申請者を含む)の利害の均衡を図ることです。

パートナー
Shardul Amarchand Mangaldas & Co
CIRPの開始が始まると、取締役会は職務停止となりますが、職務停止中の取締役は議決権なしの立場で債権者委員会(CoC)の会議に出席することができます。この限定的な参加は、債権者優先を維持しつつ、取締役の組織的知見を活用することが目的です。
Vijay Kumar Jain v Standard Chartered Bank事件において、最高裁は、職務停止中の取締役がCoCに付議される再生計画の写しを受領する権利を有すると示しました。もっとも、ノンバンク金融会社(NBFC)や住宅金融会社(HFC)などの金融サービス提供者(FSP)が関与する事案では別の問題が生じています。それは、CIRPの開始前にインド準備銀行(RBI)により取締役会が解散され、代行体制を置くことが多いからです。Piramal Capital Housing Finance Ltd v 63 Moons Technologies Ltd事件において、最高裁は、解任された取締役は再生計画を受領する権利を有しないと示しました。
ここで、IBCの枠組みにおいて、「職務停止(suspension)」と「解任・代行(supersession)」の区別が、理論上正当化されるのかが問題となります。
CIRPにおける職務停止中の取締役会の権利
IBC第7条、第9条又は第10条に基づく申立てが受理されると、IBC第17条により、取締役会の権限は職務停止となり、暫定管財人又は管財人に移転します。職務停止は経営支配を排除するものの、取締役会の存在自体を消滅させるものではありません。
IBC第24条第3項(b)は、CoCの各会議について、職務停止中の取締役に対して通知を行うことを求めています。Vijay Kumar Jain事件において最高裁は、この権利が実体的なものであり、議題資料及び関連資料(再生計画を含む)へのアクセスを含むことを明確にしました。これらへのアクセスが否定されれば、参加は名目的なものとなり、自然正義の原則を害することになります。
FSPにおける解任された取締役会の権利

プリンシパル・パートナー
Shardul Amarchand Mangaldas & Co
IBCは、FSPの倒産について別個の枠組みを採用しています。IBC第227条により、中央政府は、修正を加えたうえで倒産手続の対象とするFSPの類型を通知することができます。2019年の「金融サービス提供者の倒産及び清算手続に関する規則」に基づき、大規模なNBFCやHFCに対するCIRPは、通常RBIである適切な規制当局のみが開始できます。実務上、CIRPの前段階として、RBI法(1934年)第45条IEに基づき取締役会が解任されるケースが多数あります。これは、NBFCの業務が公的利益、または預金者に不利益となる態様で運営されている場合に行われます。ここで、解任された取締役が、IBC上の職務停止中の取締役と同様の参加権を有するかが問題となります。
解任された取締役会は再生計画を受領できない
Piramal事件において最高裁は、CIRP中に解任された取締役が再生計画の写しを受領する権利を有しないと示しました。この件について、裁判所は、主として以下の3点を根拠としています。
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- 第24条第3項(b)は、参加権を職務停止中の取締役にのみ付与していること
- IBCに基づく職務停止とRBI法に基づく解任・代行は法的に別個であること
- CIRPに先立って解任・代行が行われた場合、第二四条を援用するための法的基礎が欠けること
したがって、解任された取締役は、職務停止中の取締役と同等の取扱いを主張することはできません。
解任された取締役会の権利の進展可能性
Piramal事件が認めた区別は、法文言及び規制上の文脈に基づくものです。RBI法第45条IEに基づく解任・代行は、公的利益及び預金者保護のために用いられる例外的な規制措置であるのに対し、IBC第17条に基づく職務停止はCIRP開始により当然に生じ、必ずしも不正行為を意味しません。
もっとも、いくつかの論点は未解決のままです。Vijay Kumar Jain事件における「参加は実質的でなければならない」という機能的な理由付けは、FSPの文脈では検討されていません。また、CIRP開始後は、職務停止中の取締役会と解任された取締役会の双方が経営から排除される一方、特に個人保証が存在する場合、元取締役の立場に影響します。さらに、FSP規則はIBCの規定を準用するが、第24条を明示的に修正していません。これらを踏まえると、FSP倒産における解任された取締役会の参加範囲は、今後も変化していくでしょう。
Piramal判決は今後の司法判断による展開の余地を残す
Piramal事件における最高裁の判断は、FSP倒産に伴う高度な規制上の懸念を反映し、IBC上の職務停止とRBI法上の解任・代行を適切に区別したものといえます。他方で、かかる手続において経営陣にどこまで参加権が認められるかは、今後の司法判断による展開に委ねられています。
Mishaは Shardul Amarchand Mangaldas & Co のパートナー、Charu Bansalは同社のプリンシパル・アソシエイトです。
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