暗号資産に課税される時代へ

By Shahid Khan、Kochhar & Co.
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国会が今般制定した2022年財政法(Finance Act, 2022)により、暗号資産として広く知られている仮想デジタル資産(VDA)に対して特別な税制が導入されました。

暗号資産の取引は、投機的で不安定ですが、時として大きな収益が得られる投資エコシステムで、新時代の投資家の間で人気を集めています。ある試算では、インドでは1000万人が暗号資産を所有しており、その数は増加しています。暗号資産の取引は禁止されてはいませんが、その取引の規制枠組みも存在しません。インドでは、CoinSwitch Kuber、WazirX、Zebpay、CoinDCXをはじめとする複数の暗号通貨取引所が運営されています。投資家は、ifinex等、海外の暗号取引所にもアクセスできます。

Shahid Khan, Kochhar & Co., 暗号資産に課税される時代へ
Shahid Khan
シニアパートナー
Kochhar & Co.

暗号資産の取引から得られる所得は、1961年所得税法(Income Tax Act, 1961/以下、本法)の通常の規定に基づき課税されていました。しかし、2022年4月1日以降、VDAの譲渡から発生する所得は、新たな税制の対象となります。

VDAは、暗号的手段等による方法で生成され、対価の有無にかかわらず交換されるか、または価値の貯蔵や勘定単位として機能し、あらゆる金融取引・投資で使用され、電子的に移転、保存、取引できる価値をデジタル表示するような情報、コード、番号またはトークン(公式通貨ではない)、さらに非代替性トークン(NFT)や同様の性質のその他のトークン、政府が通知するその他のデジタル資産として、幅広く定義されています。

NFTは、ブロックチェーンベースのデジタルユニットで、有名人のサイン、象徴的なイベントの写真や動画等、デジタルで収集可能な一意のアイテムの所有権を、譲渡・認証するために使用されます。それぞれのNFTは唯一無二で、他のデジタルトークンと互換性がなく、ブロックチェーン上の暗号記録として存在します。したがって、電子的に移転、保存または取引できるあらゆる種類のデジタル資産は、事実上、VDAの定義に含まれます。

新制度では、VDAの譲渡により個人に発生する所得には一律30%の税率で税金が課され、VDAの購入価格以外の経費の控除は認められません。この新たな規定は、VDAが資本資産として保有されているか、トレーディング資産として保有されているかにかかわらず適用されます。このため、VDAを取引用の資産ではなく、資本資産として保有している場合でも、VDAの譲渡により発生する所得は、長期的なキャピタルゲインに適用される20%の税率ではなく、一律30%の税率で課税されます。

VDAの譲渡により生じた損失は、VDAの譲渡による課税所得の計算上、控除することができません。さらに、VDAの譲渡による損失は、他の所得との相殺や、将来の所得との相殺のために繰り越すことは認められません。VDAの譲渡による所得は課税対象となりましたが、譲渡によって生じた損失について、納税者は救済を受けることができません。

この新規定により、VDAの買主には、インドの税務上の居住者に譲渡対価を送金する際に、当該譲渡対価の1%を税金として源泉徴収される義務が課されます。しかし、VDAの譲渡対価が、現金ではなく全額現物または別のVDAとの交換である場合、または一部が現金、一部が現物で、現金部分が納税額を満たすのに十分でない場合、買主は譲渡対価を送金する前に、その取引に関して売主が納税していることを確認する必要があります。

ただし、対価が特定の個人から支払われる場合で、かつ、VDAの譲渡対価の総額が各会計年度において5万インドルピー(645米ドル)を超えない場合、および当該VDAの譲渡対価が各会計年度において1万インドルピーを超えない場合には、当該VDAの譲渡には税金の源泉徴収義務は課されません。

最後に、本法第56条の改正により、ある会計年度にVDAの贈与を受けた者は、その公正市場価値の合計が5万インドルピーを超える場合、その超過分の公正市場価値について、受取人の所得として、適用されるスラブレート(階段式に増加する率)で課税されることになりました。

Shahid KhanはKochhar & Coのシニアパートナーです。

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