日本企業のタイ投資に対する法規制の概要

By Mallika Esposito Seu Margherita と Mallika Esposito Seu Margherita Palawi Bunnag, ILCT(バンコク)
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タイは、安定した経済、魅力的な投資環境、東南アジアにおける戦略的な位置により、人気の投資先としての地位を維持している。2022年の外国投資は56%増の1290億バーツ(37億5000万ドル)となった。

外国投資家のタイへの投資は日本が首位であり、151の投資家(外国投資家全体の26%)が合計395億バーツ(11億5000万ドル)を投資している。タイは、製造・電子機器・観光・再生可能エネルギーなど多様な業種で、日本の投資家に幅広い投資機会を提供している。

本稿は、日本の対外投資家にタイ投資の詳細な指針を示し、外国投資に適用される法規制の枠組み、最も有望な投資機会となる業界・部門、タイ市場で最も効果的な投資戦略と投資構造を論じるものである。

ベテラン投資家とタイ市場に初めて参入する投資家どちらにも、本稿は、情報に基づく判断を下し、成功のチャンスを高める上で必要な知識と洞察を提供する。

法律・規制の枠組み

外国投資家は、投資を行う前にタイの法律・規制の枠組みに関し助言を求める必要がある。海外親会社の支店、子会社、非法人合弁会社(建設事業や有期事業でよく使用される)など、多様な投資構造を利用できるからである。

Palawi Bunnag, LCT, The future of digital asset taxes in Thailand
Palawi Bunnag
パートナー
ILCT(バンコク)
メール:palawib@ilct.co.th

どの構造にも独自の長所短所があり、構造を決定する前に投資の具体的なニーズと目標を慎重に検討することが重要になる。

タイには、外国人事業法(Foreign Business Act)や投資促進法(Investment Promotion Act)など、外国によるグリーンフィールド投資に適用される様々な法律や規則が存在する。その意味では、こうした法規制の枠組みの理解が欠かせない。法律や規制を入念に見極めて初めて、外国投資家はタイ経済の完全な可能性を引き出し、成功の可能性を高めることができる。

外国人事業法は、外国投資を規制する主たる法律であり、外国企業向けの規則と手続きを定め、外国資本の所有が制限または禁止されている業種を定義している。

同法に基づき、銀行・通信・メディアなどの特定の業種は外国資本による所有が制限または禁止されている。だが外国投資家は、タイ人投資家との非法人合弁会社を設立するか、関連省庁から特別な許可を取得すれば、これらの業種に投資を認められる場合もある。

外国人事業法は、外国会社の代表本部と地域統括本部の設置についても規定している。これらの手続きは任意だが、市場調査、品質管理業務、輸出するタイ製品の調査などの、取引以外の一定の業務を行う際にメリットがある場合もある。

だが、外国会社がこうした業務に従事する場合、商務省事業開発局から外国人事業ライセンスを取得しなければならない。この手続きは一般に約3カ月かかり、承認された会社は、代表本部用に2件、地域統括本部の駐在員管理者用に5件のビザおよびワークパーミット(労働許可書)の発行を受ける資格を得る。外国の銀行・証券会社・金融会社は、個別規則に基づき代表事務所を設置することができる。

Mallika Esposito Seu Margherita, LCT
Mallika Esposito Seu Margherita
パートナー 
ILCT(バンコク)
メール: mallikam@ilct.co.th

外国人事業ライセンスを付与された外国人は、タイの法律に基づき設立された会社の資本を100%所有することができ、外国人事業法または投資促進法に基づく例外を除き、タイで事業を行う外国資本の企業はすべて外国人事業ライセンスの取得を求められる。ライセンス申請手続きには、事業活動案や株主構成に関する詳細な情報が必要となる。ライセンスを首尾よく取得する鍵は、現地採用を含めタイ人に知識・技術が移転されることを示すことである。

外国人事業ライセンスを取得したら、事業開発局に登録して会社登録番号を取得する。外国資本の企業は、納税者番号、付加価値税登録証、外国人従業員のワークパーミットなど様々なライセンスや許可証も取得しなければならない。

投資促進法は、外国投資の奨励と規制を行うもうひとつの重要な法律である。同法は外国投資家に、免税期間、輸入関税免除、土地保有許可など各種の優遇措置を認めている。この税制優遇措置は、特定の業種や地域への外国投資の誘致を目的とするものだ。

主な考慮点

タイに会社を設立するに当たり、税務・非税務上の考慮点を含めて、検討すべきいくつかの要因が存在する。

非税務上の観点に立つと、外国会社の支店より、タイに有限責任会社を設立する方が好都合かもしれない。有限責任会社は所有権を柔軟に変更でき、登記やライセンスも取得しやすいからだ。タイ政府とやりとりする際も、一般的に国内設立法人の方が有利である。内国法人は、一定の特権や許可を受けられる場合があるからだ。

税務面では、タイ法に基づき設立されたか、または外国法に基づき設立され、タイで事業を行うすべての会社には、その純利益に対して法人所得税が課される。一方、海外で事業を行う支店の純利益は、本社がタイ法に基づき設立された場合に、法人所得税の対象となる。代表本部と地域統括本部の活動は、その活動が特定の内容に限定される場合、法人所得税が課されない場合もある。

外国親会社や外国人株主に支払われる配当には、源泉税が課されるが、投資促進法に基づき免除される場合もある。支店が本社に利益を送金する場合も源泉税の対象となる。

外国人株主に送金する利子・手数料等には源泉税が課されるが、支店から本社への利子・手数料等の送金には利益送金税が課される場合がある。

場合によっては、外国税額控除を利用できる。また、タイと関連諸国間の二重課税回避のための租税条約が定める方法、すなわち国外所得免除とみなし外国税額控除によって、二重課税を回避できることもある。租税条約の利用可否や適用される条約の影響を判断するために、税理士に相談するとよいだろう。

ビジネス機会

日タイ経済連携協定(JTEPA)は、日本とタイの経済関係を強化するために2007年に調印された二国間自由貿易協定であり、日本人投資家に様々な恩恵をもたらしている。これには、物品・サービスにかかる関税引き下げ、関税手続の簡素化、知的財産権保護などが含まれる。

ほとんどの製造業は制限リストの対象ではなく、日本資本による100%保有が可能であることから、製造業部門は、日本人投資家に魅力的な投資機会を提供している。

タイは、熟練した労働力、東南アジアにおける戦略的な位置、魅力的な投資環境を備えており、食品加工、電子機器、自動車を中心に製造業が発展している。

日本企業は歴史的に、特に自動車の生産・組立を中心に、タイの製造業にとって最大の投資国のひとつである。

加えて、タイ工業団地公社法(Industrial Estate Authority Act)は、一定の条件を満たす場合に外国投資家による土地の保有も認めている。

日本人投資家に大きな可能性を提供するもうひとつの分野は、再生可能エネルギーである。タイは野心的な再生可能エネルギー開発目標を定め、エネルギーミックス全体に占める再生エネルギー比率を、2037年までに30%に引き上げることを目指している。

タイは再生可能エネルギー開発のために、税制優遇措置、固定価格買取制度、低金利融資など様々な優遇措置を設けている。日本企業は、太陽光・風力・バイオマス発電事業を通じて、この部門に既に多額の投資を行っている。

観光関連事業も、日本人投資家にとって可能性を秘めた投資機会である。観光産業はGDPの大きな割合を占め、毎年数百万人が日本からタイを訪れるなど、海外からの外国人観光客数の国別順位で日本は上位に位置する。

日本企業数社が、外国人事業法に従ってホテル・リゾート開発、エンターテイメント、レジャーなどの観光部門に投資している。パンデミックからの回復に向けて、タイ政府は、外国人訪問者数を増やすために「アメイジング・タイランド」キャンペーンなど、全世界を対象とする様々な観光振興策を立ち上げている。

結論

戦略的な位置、熟練した労働力、ビジネスがしやすい環境から、タイは、日本の対外投資家に有望な投資先を提供している。しかし、タイに投資するには、法規制の枠組みやビジネスの文化的な違いを十分に理解する必要がある。

タイで成功する可能性をできる限り高めるために、日本人投資家は、経験豊富な弁護士と協力し専門的な助言を求める必要がある。潜在的な投資機会の慎重な評価、効果的な契約交渉、文化の違いの理解、適切な投資構造の選択を通じて、日本人投資家はタイ市場に巧みに対応し、大きな利益を上げることができる。

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