国際商事仲裁を費用対効果高く活用する方法

By 西垣 建剛 • Joel Greer/GI&T Law Office
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経験豊富な紛争解決を専門とする弁護士は、国際仲裁への参加について、費用が高額で時間がかかるという風評から、企業が懸念を抱いていることを考慮しています。仲裁手続にかかる労力と時間、ならびに法的費用、その他の費用を踏まえれば、これらの懸念はもっともなことです。

しかし筆者らは、その額が必ずしも高額でない場合でも、企業は国際仲裁を高い費用対効果で利用できると確信しています。

本稿では、国際仲裁手続の費用と期間を短縮できる方法、企業が仲裁をより効率的、勝予想よりも低コストで実施できる契機となるであろう要因について論じていきます。

迅速手続により仲裁期間を短縮する

Kengo Nishigaki, GI&T Law Office
西垣 建剛
代表社員/パートナー
GI&T Law Office
東京

第一に、可能な限り、主要な国際仲裁機関の規則の多くが提供する迅速手続(またはファストトラック手続)を利用します。名称のとおり、迅速手続は、通常の仲裁よりも迅速かつ低コストで仲裁手続を進めることを目的としております。規則によっては、当事者が合意して適用する場合もあれば、仲裁開始時点、または仲裁合意を含む契約の締結時点において、紛争額が一定の金額基準を下回る場合に、デフォルトで適用される場合もあります。

通常の仲裁では、最終的な仲裁判断が出るまでに少なくとも12〜18ヶ月を要することが多い一方、迅速手続の規則では、判断をより早期に行うことが求められ、一般に、仲裁廷が構成されて事件記録を受領した日から、典型的には6かヶ以内、またはその直後に判断が下されることが想定されています。

時間と費用を削減するため、迅速仲裁では、3名の仲裁廷ではなく、通常は単独仲裁人が手続を主宰します。単独仲裁人は、証拠調べの簡素化など、迅速手続における時間・費用節減のための重要な制限を設ける裁量を有しており、例えば、文書提出を除外すること、書面提出の回数や分量を制限すること、証人証拠を制限すること等が含まれます。単独仲裁人は、口頭審理を行わず、当事者が提出した書面のみで事件を判断することもできます。

証拠、オンライン審理、手続の合理化

Joel-Greer
Joel Greer
カウンセル(外国法事務弁護士)
GI&T Law Office
東京

第二に、仲裁手続で文書提出請求や証人陳述書が関係する場合でも、その請求や陳述書は、必要不可欠な事項に限定します。文書提出請求・文書提出、ならびに証人への聴取や口頭審理における尋問は、国際仲裁において最も費用と時間を要する局面の一つであるため、これらの作業を合理化することが費用対効果の向上にとって重要です。

第三に、適切な場合には、仲裁人および相手方代理人との打合せや口頭審理を、対面ではなくオンラインで実施します。これらの打合せや審理の準備および参加には一定の費用が必ず生じますが、移動が不要となることで、重要な費用・時間の節減につながります。

第四に、時間と費用を大幅に増加させる不要な手続、手順は回避します。例えば、仲裁が管轄の問題と責任の問題の双方を含む場合、仲裁手続を二段階に分け、第一段階で管轄を、第二段階で責任を扱う、いわゆる分離審理を行うべきかが問題となることがあります。

非効率な分離審理に抗し、費用を抑える

しかし、管轄に関する事実関係の争点が責任に関する争点と大きく重なり、ほぼ同じ文書証拠を要するのであれば、分離審理は手続上、非効率(不必要に時間と費用がかかる)となる可能性が高く、これを避けるべきです。

また、仲裁費用に関連して、ほかにいくつか念頭に置くことがあります。

第一に、国際仲裁の規則では、仲裁人が、弁護士費用、およびその他の仲裁費用の全部、または一部を敗訴当事者に負担させる旨を判断できる旨が定められていることが多々あります。敗訴当事者が、例えば手続を遅延させたり妨害したりするなど、仲裁の過程で不適切な対応をした場合、仲裁人が弁護士費用および費用の100%を敗訴当事者に負担させる判断をすることもあります。

第二に、近年では、比較的小規模な国際紛争解決事務所が増加しており、大手法律事務所が通常提示するものより柔軟で合理的な価格で、高品質なサービスを提供できる場合があります。

最後に、国際仲裁の費用を減らす最善の方法は、可能な限り仲裁に参加しないことです。

この点、企業が相手方との国境をまたぐ紛争に直面した場合、国際調停によって解決するという代替手段を検討することもできます。国際調停は、調停人が関与して紛争当事者である企業同士の交渉を促進するものであり、国際仲裁に比べてはるかに低コストかつ短期間で進められます。ただし、調停が不成立となった場合には、なお仲裁を追行する必要が生じ得ます。

西垣建剛氏は東京のGI&T法律事務所の代表パートナーであり、Joel Greer氏は同事務所のカウンセル(外国法事務弁護士)です。

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