創・佐藤法律事務所は、プライベート・エクイティ(PE)・ファンドの組成およびその後の投資に関して、日常的に法的助言を提供しています。

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日本におけるPEファンドを取り巻く法規制は複雑であり、本稿がその概要を理解する一助となることを期待しています。
日本では、いわゆるスモールキャップおよびミッドキャップを扱うPEファンドが、海外投資家から注目と評価を集めています。これは主に、日本の地政学的安定性、比較的安定したマルチプル、そして特に中小企業を対象とする国内M&A案件の割安感に起因しており、こうしたPEファンドの成功の可能性を示唆しています。
さらに、中型株および大型株銘柄を扱うPEファンドは、2030年に予定されている東京証券取引所の上場基準改定を見据え、公開買付(TOB)やマネジメント・バイアウト(MBO)案件において存在感を強めています。
本稿では、主に日本の機関投資家を中心に、一部海外の機関投資家やファミリーオフィスが参加するPEファンドを取り上げます。
法的構造
投資ファンドは、投資対象、法的構造、設立法域(準拠法)、投資家の種類などに基づいて分類されいます。
PEファンドは通常、クローズドエンド型のパートナーシップ形式で組成されます。日本法においては、「投資事業有限責任組合契約に関する法律」(LPS法)に基づく「投資事業有限責任組合」として設立されることが多くなっています。
投資家の一定数が海外に所在する場合、ケイマン諸島などのタックスヘイブンにおいてパラレルファンドがリミテッド・パートナーシップ(LP)として設立されることもあります。
法的規制

アトーニー
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金融商品取引法(FIEA)。理論上、PEファンドの「無限責任組合員(GP)」は、以下の登録を行う必要があります。
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- 日本国内で組合持分の私募を行うための第二種金融商品取引業者としての登録
- 投資家パートナーから拠出された資金やその他の資産を、有価証券等への投資を通じて運用するための投資運用業者としての登録
しかし、特に「新興運用業者促進プログラム(EMP)」を含む多くのファンドマネージャーにとって、必要な知識・経験を有する人材(コンプライアンス担当者を含む)の雇用や資本要件の充足など、登録要件を満たすことは現実的ではありません。
そのため、多くのGPは「適格機関投資家等特例業務(SPSQII)」と呼ばれる特例に依拠しています。SPSQIIは、以下の「対象業務」および「適格投資家の範囲」に定められた事業を、登録ではなく届出のみで行うことを認める制度です。
- 対象業務。SPSQIIの下で、GPは以下の業務を行うことができます。
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- 一人以上の適格機関投資家(QII)および一定の要件を満たす49名以下の投資家(SPS投資家)へのファンド持分の私募
- 上記投資家から拠出された資金やその他の資産の運用(主として有価証券への投資)
- 適格投資家の範囲。QIIとは、証券会社、銀行、保険会社などの法人、または「10億円(約6,500万米ドル)」以上の有価証券ポートフォリオを保有し、QIIとしての届出を行った自然人・法人を指します。
SPS投資家には、上場企業、資本金または純資産額が5,000万円以上の法人、外国法人などが含まれます。
SPSQIIを行う際には、少なくとも1名のQIIが必要です。
- 届出。SPSQIIを開始する前に、所轄の財務局に対して事前届出を行う必要があります(具体的には、投資家が最初にファンド持分を取得する前)。
- 届出事項に変更が生じた場合、SPSQII届出者は遅滞なく(実務上は1か月以内に)変更届を提出しなければなりません。
- 行為規制。SPSQII運営者は、FIEAに基づく免許・登録金融機関ではないものの、利益相反の取扱いに関する規定やFIEAに準拠した説明文書の提供など、一定の規制を遵守する必要があることに留意するべきです。

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犯罪収益移転防止法。PEファンドのGPがファンド持分の勧誘またはファンドの運用を行う場合、リミテッドパートナー(LP)について一定の「顧客確認(KYC)」プロセス及びデューデリジェンスを実施することが義務付けられています。
各デューデリジェンスプロセスには、本人確認や取引目的などの顧客情報の確認、実質的所有者の確認が含まれまます。
投資事業有限責任組合契約に関する法律(LPS法)。LPS法に基づく「投資事業有限責任組合(LPS)」は、日本国内のパートナーシップ型ファンドで一般的に用いられる形態であり、他国のリミテッド・パートナーシップと類似しています。
ただし、LPSが従事できる事業活動はLPS法で規定された範囲に限定され、具体的には法人発行の株式・新株予約権の取得・保有、社債等の特定有価証券の取得・保有、組合への出資などが含まれます。
さらに、外国法人発行の株式・新株予約権等の取得・保有は、全組合員の総出資額の50%未満に制限されます。
外国為替及び外国貿易法(外国LPが参加する場合)
海外投資家がリミテッド・パートナーとしてPEファンドに参加する場合、外国為替及び外国貿易法(FEFTA)基づく一定の手続が必要となる場合があります。
FEFTAの下では、外国投資家(非居住者または外国法人)がLPとして参加するPEファンドは、以下のいずれかの届出を行う必要があります。
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- 事前届出および事後報告
- 少なくとも事後届出。出資比率の50%以上を外国投資家が保有するPEファンドは「外国投資家」に該当し、同様の報告義務を負います。
事前届出または事後届出の要否は、投資先企業の事業内容によって異なります。
近年の外為法および関連政令の改正により、ソフトウェアサービス業など多様な業種が外資規制の対象に指定されたため、事前届出の要否を慎重に確認する必要があります。
独占禁止法。最後に、競合企業を連続的に買収・統合するロールアップ戦略を採用する場合、一定の市場シェア基準を超えると公正取引委員会による企業結合審査の対象となる可能性があります。
日本のプライベート・エクイティ・ファンド市場は今後も堅調に推移すると見込まれます。それに伴って、法的課題やリスクは一層複雑かつ高度化していくことが予想されます。
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