インド、インドネシア、ロシア、台湾における、ブランド保護に関する最新の規制動向を解説します。
インドの代表的なブランドによるIP活用の成功戦略
インドを代表する象徴的なブランドは、インドの文化、遺産、創意工夫を、保護可能かつ収益化可能な資産へと変革することで、他のブランドとの差別化を図っています。これらは単なるビジネスを超えた存在であり、伝統に深く根ざしながらも自信にあふれ、未来への歩みを進めるインドの創造力の象徴なのです。
本ケーススタディでは、インド発祥の象徴的ブランドという“生地”を強く織り上げる知的財産(IP)の“糸”について、分析していきます。
TITAN:感性と優雅さのエンジニアリング

商標・契約・商業知的財産部門責任者、シニア・パートナー
Anand and Anand
デリー
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Email: safir@anandandanand.com
Tata IndustriesとTIDCO(タミル・ナドゥ州産業開発公社)はTitan Watchesを市場投入するため、1984年、ジョイント・ベンチャーを設立しました。その登場は、Ogilvy & Matherによる象徴的な広告キャンペーンによって印象づけられ、消費者は新聞の切り抜きを持って店舗に時計を買いに訪れたほどでした。
長年にわたり、Titanは現代的なデザインと伝統的価値観を融合させた時計の製造で高い評価を築いてきました。Titanは多様な消費者層に合わせて綿密に設計された幅広いブランドを展開しながらも、ブランド全体として一貫したアイデンティティを保っています。
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- ウォッチ:Titanブランドは、Fastrack、Xylys、Zoop by Titan、Octane Titan、Raga by Titan、Nebula by Titan、Edge by Titan、Sonataなど、多様なサブブランドを展開するまでに拡大しました。
- ジュエリー:Titanはジュエリー分野でもブランドの多角化で類まれな成功を収めており、フラッグシップのTanishqは品質の象徴を表し、Zoyaはラグジュアリーを体現、CaratLaneはオムニチャネル・ブランドを実現し、Miaはワークウエア向けの現代的なデザインを提供しています。
- アイケアとアクセサリー:Titanはアイケアとアクセサリー分野においても存在感を誇っています。
TitanのRaga Memoirs collectionは、幼少期の思い出から着想を得た時計をもとに、クリエイティブなストーリーテリングを見事に体現しています。Pinwheel Dreams、Toffee Twist、Candy Swirls、Ladybug Whispersなどのデザインは、情緒的な価値と美しさが融合し、感情に訴えかけます。
ZoyaのPezzo D’Arte collectionは、古典的なイタリア建築に着想を得て、象徴的な建築の傑作を身に着けられるアートへと昇華させています。同様にCaratLaneは世界初の本格的な3Dバーチャル・ジュエリー試着体験の先駆者であり、紫色に象徴される色づかいを戦略的に活用しています。Tanishqをはじめとするその他の著名な商標も、Titanが多様な法域においてIPを維持・行使する能力があることを物語っています。
RELAXO:Hawai Chappalから始まったファッショナブルなフットウェア
インドの家庭に欠かせない定番のHawai Chappa(サンダルの商品名)という一つの商品から始まったRelaxoは、現在では400種類以上の靴やサンダルを展開するまでに商品群を拡大しています。同社はわずか1万インドルピー(約117米ドル)の小規模な投資から始まりましたが、今日では市場のリーダーへと成長しています。
多くのインド人にとって郷愁を呼び起こすオリジナルのロゴは、現代の嗜好に合わせて刷新されました。
Relaxoは表面のテクスチャーや靴底のデザインなど、履物の複数の部分・特徴について意匠権を取得するとともに、Sparxブランドの商標を活用し、それを製品アイデンティティの不可欠な部分として確立しました。
2022年、Relaxoは、Aqualite IndiaによるBahamasシリーズの独自デザインの侵害に対して法的措置を講じ、引き続き革新的な履物についての意匠登録を重ねることで、知的財産ポートフォリオを着実に強化しています。
ESCORTS:IP主導でレガシーを築く
Escorts Groupは多岐にわたる分野で事業を展開しています。ポーランドのUrsusとの提携により、Escortsブランドのトラクターを製造しています。象徴的なRajdootのオートバイ・シリーズは、別のポーランド・メーカーであるCekopと提携して立ち上げた製品です。また、Ford Motor Companyとのジョイント・ベンチャー事業により、Escortsはインド最大のトラクター・メーカーとなり、国際的な存在感を確固たるものとしました。
2020年にはEscortsは日本のクボタの株式を取得しました。Escortsグループは、同社マネージング・ディレクターの祖父の名を冠したHar Parsad & Companyが所有しています。同ブランドはまたEscorts Kubota Ltd.とライセンス契約を締結しており、これによりEscortsブランドのレガシーと所有権は創業者一族のもとに保持されています。
MANISH MALHOTRA:象徴的IPとしてのファッション
Manish Malhotraは、デザイナー本人の存在を中心に展開するブランドであり、“MM”という2文字のイニシャルをコーポレート・アイデンティティに用いています。
2021年、Malhotraはデリーのフラグシップ店でバーチャルストアを開設して、デジタル・クチュール体験を提供する初のインド人デザイナーになるという、革新的な取り組みを行いました。Manish Malhotraブランドはライセンス契約の活用にも長けており、コアとなる知的財産の管理を維持しながら、新たな市場への進出を果たしています。
2014年、Manish Malhotraは当時パキスタンで商標が未登録ではあったものの、世界的に認知されていることを根拠に国境を超えた評判を主張し、パキスタンの繊維企業を相手に商標権保護を求める法的措置を取りました。同ブランドは、いかに知的財産を活用すれば世界的なファッション帝国を築くことができるのかを表す重要な事例です。
HERO MOTOCORP:優れた技術力と、そのブランド保護
Hero MotoCorpはそのロゴを、動き、スピード、前向きな思考によるイノベーションの象徴として活用しています。同社のスローガン「Hum Main Hai Hero(私たちの中にはヒーローがいる)」は、ブランドを日常の消費者と結び付けています。
同社はロゴ「X」を商標登録して、Xtreme、Xpulse、Xtreme 160Rなどのストリートバイク・モデルに使用し、その独自性のある、保護されたデザインが特徴になっています。
TCS:IPが世界的なデジタル・リーダーシップの基盤に
Tata Consultancy Services(TCS)は、タタ・グループを代表する主力ブランドであり、世界市場における同社のアイデンティティを体現しています。TCSは、提供サービスの強化とイノベーション推進のため、MicrosoftのAzureクラウドプラットフォーム、Google Cloud、IBM、Oracle、Ciscoなどとのブランド・コラボレーションや戦略的パートナーシップを多彩に展開しています。
TCSは、クライアントと協力してIPを開発・保護する共同革新モデルを推進しています。TCSは、共同開発プログラムを通じて、クライアントの共同所有または独占ライセンスを有するイノベーションの保護を支援しています。TCSは、IP資産を活用して新たなビジネスモデルや収益源を創出しています。
BABA:伝統とイノベーションを併せ持つzarda
同社はデリーのChandni Chowk市場の質素な通りの小さな店舗からスタートし、フェスティバルや結婚式、特別な行事で広く親しまれている伝統的なインドの米菓ザルダの製造で人気を博しました。
数十年にわたる継続的な使用により、「BABA」は本来の語源的な中立性を超え、BABA 120、BABA 600 Plus、BABA ONEなどの「House of BABA」ブランドに集約された感覚的な体験の象徴となりました。黒と金のパッケージという組み合わせは保護されており、単なる見た目の美しさだけでなく、ブランドにとって不可欠な要素となっています。
同社のコミュニケーション戦略は、「Andaz Jo Rivaaz Ban Jaaye(スタイルが伝統になる)」のような心に響くキャッチフレーズを使用するなど、消費者の記憶に強く残るものとなっています。
THE PARK Hotels:IPによる体験の創造
THE PARKのIPは、ホテル、レストラン、その他の関連サービスなどの戦略的な立地にあり、それぞれの施設をユニークで象徴的なものにしています。そのIPを通じて立地の価値を確立することで、信用や評判を築いています。
これには、パーク・ストリートにあるコルカタの象徴的なティールームFlurysも含まれています。スイス人駐在夫婦によって創業された店で、後にTHE PARKが買収しました。
ウェルネスやリジュベネーション(若返り)の分野では、複数の施設でAURA Spaを展開しており、これが同ブランドのウェルネス業界への本格参入を示しています。
THE PARK Hotelsの親会社であるApeejay Surrendra Park Hotels Limited(ASPHL)は、昨年、新規株式公開(IPO)によって株式上場という重要な節目を迎えました。その際、同ブランドの強固な知的財産ポートフォリオと、国内での高い知名度は極めて重要な役割を果たし、そのレガシーと成長戦略に対する市場の信頼を裏付けました。
Taj & Indian Hotels:インドのホスピタリティの魂
The Indian Hotels Company Ltd(IHCL)のブランド「Taj」は、“Tajness”と呼ばれる新たなコンセプトと感覚を創造・導入し、香り、触感、感覚、味覚などの独特の体験を保護の対象にしています。その体験は、そのホテル・ブランド全体で提供される、統一されたジャスミンの香りや特製料理などを通して感じ取ることができます。
IHCLは、ムンバイの象徴的な建造物であるTaj Mahal Palace hotelの外観を商標として保護した、インド初の企業です。さらに、この歴史的建造物の芸術的および構造的設計図は、著作権法および意匠法(2000年)により保護されています。
Gateway of Indiaに同ホテルが復活したことは、歴史的価値を守りつつ、現代の市場感覚に合わせてレガシーIPを再生できることを示しています。
例えば、Taj InnerCircleプログラムであるEpicure のようなIHCLの顧客ロイヤルティ・プログラムには、独自のプロセス、ブランディング、ユーザーデータが含まれており、これらもすべて各種IP法により保護されています。
重要なポイント
ブランドの強さは、社会的な認知度だけでなく、知的財産によってその独自の特性が法的に保護されていることにも表れています。
印象的なロゴや独特のデザインから、技術革新や戦略的なブランド拡張に至るまで、それぞれの要素が、ブランドのアイデンティティと競争優位性を形作る重要な役割を担っています。
今回のケーススタディは、先見的なブランディングが、入念なIP保護と革新的な消費者エンゲージメントと組み合わさることで、ブランド名を文化的かつ商業的レガシーへと昇華し得ることを示しています。
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インドネシアにおける商標法の分析
インドネシアでは、商標に関する主要な法律は、商標および地理的表示に関する法律 2016年第20号であり、商標法と通称されています。この商標法は、「雇用創出に関する法律代替政令 2022年第2号」の法律としての制定に関する法律 2023年第6号によって更新されています。さらに、以下のような、より具体的な事項を規定する下位法令がいくつか存在します。
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- 法務・人権省で適用される非課税国家収入の種類と料率に関する政府規則 第28号。これは法務・人権省傘下の知的財産総局(DGIP)に対して提出できる各種手続きの正式な手数料を定めている
- 国際商標登録に関する2018年政府規則第22号。これは標章の国際登録に関するマドリッド協定に関連する議定書に基づいて、インドネシア国内またはインドネシアから出願された国際登録のあらゆる側面を対象としている
- 1995年に設立された商標審判委員会に関する2019年政府規則第90号。これは、同委員会における不服申立て、審査、解決の手続きについて規定している
- 商標分野における知的財産総局長の商標登録政令に関する規則 2016年第67号の改正に関する法務・人権省規則 2021年第12号。この省令は登録、商品とサービスのクラス、発行済み証明書ならびに記録の訂正について規定している
- 地理的表示に関する規則2019年第12号の改正に関する法務・人権省規則 2022年第10号
商標の範囲

マネージング・パートナー
AFFA
Intellectual Property Rights
ジャカルタ
Tel: +62 812 8700 0889
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商標法は、商標を「図形、ロゴ、名称、言葉、文字、数字、色の配列、二次元および/または三次元の形状、音、ホログラム、またはこれらの要素の2つ以上の組み合わせで表現できる標章であり、取引において個人または法人が生産する商品および/またはサービスを識別することを目的として使用されるもの」と定義しています。
商標法では、伝統的商標と非伝統的商標の2種類が認められています。固有の識別力がないために登録できない商標もあります。これらの条件は、商標が以下の場合に該当します。
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- 国家のイデオロギー、法令、宗教的道徳、倫理または公序良俗に反する場合
- 登録を求める商品および/またはサービスと同一であるか、関連しているか、または単にそれらを記述しているに過ぎない場合
- 登録を求める商品および/またはサービスの原産地、品質、種類、サイズ、品種、または用途について公衆を誤認させるおそれのある要素を含む場合、または類似の商品および/またはサービスについて保護されている植物品種の名称である場合
- 生産される商品および/またはサービスの品質、効能または有効性と一致しない情報を含む場合
- 識別力がない場合
- 一般的な名称および/または公衆に属する記号である場合
- 機能的な形状を含む場合
申請
商標法は先願主義を採用しています。一般的に、商標登録は、個人、団体または企業のいずれもが申請することができます。ただし、同法は悪意による出願された商標登録についても規定しています。商標法第21条は、出願人が悪意を持って申請した出願は拒否されると定めています。
実際には、悪意による出願であるかどうかを判断するのは非常に困難です。
悪意による出願は、後に登録に至った場合でも、商標法第77条に基づき商事裁判所でいつでも無効とすることができます。同条は「悪意がある場合および/または当該商標が国家のイデオロギー、法令、道徳、宗教、良識、公序良俗に反する場合、無期限で無効の訴えを提起することができる」と規定しています。
出願
インドネシアで商標出願を希望する方には、商標調査を強くお勧めします。調査報告書は、登録手続きの成功を妨げる可能性のあるリスクや障害を特定します。
調査報告書で、出願手続き進めることに問題がないと判断された場合、出願人は以下の情報を提出する必要があります。
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- 出願人の氏名または名称、
- 住所、
- 商品およびサービスの一覧、
- 出願する商標の表示(ワードマーク、ロゴ、または非伝統的商標のいずれかの形式が可能)。
これらの情報が提供されると、特許弁護士が委任状と商標権所有宣誓書の2通の書類を作成し、依頼者はそれぞれに署名することになります。
2019年以降、インドネシアでは電子出願のみが認められています。
タイムライン
出願に対して異議申立てや暫定的拒絶がなかった場合、出願から登録番号の取得までに10〜13カ月程度かかる可能性があります。この期間は、かつて単純な登録でも2〜3年かかっていた頃と比べて大幅に短縮されています。
異議申立て
出願は2カ月間のみ公告されます。公告期間中、利害関係者は異議申立てを行うことができます。提出された異議申立ては、実体審査の段階で考慮されます。
公告期間が終了した後は、延長請求を含め、異議申立てを行うための他の正式な手段はありません。
異議申立てを成功させるためには、異議申立人が有効な法的立場、すなわちインドネシアにおける先行する商標出願または登録を有していることが強く推奨されます。そうでない場合、審査官は先願主義を理由に異議申立てを却下する可能性が高いでしょう。
第三者による無効や取消の申立ては商事裁判所に提起する必要がありますが、それは対象となる商標が登録されて初めて可能になります。
外国での知名度
商標は、その知名度にかかわらず、インドネシアで登録されて初めて保護されます。ただし、商標法には、他者による悪意のある登録から、外国の著名商標を一定程度保護する仕組みが設けられています。
他者が外国の著名商標と同一または類似の商標を悪意で出願した場合、商標法第21条に基づき、その出願は拒絶されます。同条は「出願された商標が、同種または類似の商品および/またはサービスに関する他者の著名商標と、または一定の要件を満たす異なる商品および/またはサービスに関する他者の著名商標と、同一または実質的に類似している場合、出願は拒絶される」と規定しています。
次に問題となるのは、何をもって著名商標とするかです。「商標分野における知的財産総局長の商標登録政令に関する規則2016年第67号」の改正に関する法務・人権省規則2021年第12号の第18条は、著名商標の要件を以下のように定めています。
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- 関連事業分野における著名商標としての、当該商標の知名度または一般的な認知度
- 商品および/またはサービスの販売量と、その所有者が当該商標の使用によって得られる利益
- 社会における商品および/またはサービスの流通において、当該商標が占める市場シェア
- 当該商標の使用地域
- 当該商標の使用期間
- 宣伝に投じた投資額を含む、当該商標の宣伝活動の強度
- 世界各国での当該商標の出願および登録件数
- 法執行の成功率、特に、認定機関により当該商標が著名商標として認められた事例に関するもの
- 当該商標の評判や、当該商標によって保護されている商品および/またはサービスの品質保証に基づく当該商標の評価
ただし、海外で著名な商標であっても、インドネシアで同等の知名度を有するとは限りません。そのため、商標権者が他者に対して措置を講じる前に、インドネシア国内でも知名度を立証できるかどうかという問題が生じます。
使用要件
インドネシアは先願主義を採用しているため、登録前に先使用を主張する必要はありません。使用証拠の提出も不要です。
出願人が他国で先に出願している場合、優先日から6カ月以内であれば、インドネシアでの優先権を主張することができます。
不使用に関しては、登録商標が登録日または最終使用日から5年間連続して使用されていない場合、法律に基づいて、商事裁判所において取り消すことができます。ただし、同法は使用の最低基準を定めていないため、一般的に不使用を理由とした取消は非常に困難です。
ライセンス付与
登録商標は、インドネシア国内において他者にライセンス供与することができます。契約に法的拘束力を持たせるためには、DGIPへの記録が必要です。
一般的に、ライセンス契約には、ライセンサーおよびライセンシーの詳細、ライセンスの付与の性質(独占的か、非独占的か)、サブライセンスの可否、ライセンス契約の期間、当事者の権利と義務、ライセンスの対象や商標などを網羅する必要があります。
ライセンス契約には、インドネシア経済に直接的または間接的に損害を与える条項や、インドネシアの技術取得・開発能力を妨げる制限を含めてはなりません。
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アジアからロシアへ:アジア企業のための商標法
近年の政治的混乱にもかかわらず、私たちの実務経験から、アジア諸国の多くの企業がロシア市場へ参入、または参入を計画していることが明らかになっています。こうした企業は不要な紛争やコストを回避するために、知的財産権をいかに保護・行使すべきかを把握することが重要です。それでは、アジア諸国の出願人はロシアの商標法とその実務について何を知っておくべきでしょうか?
Q:なぜロシア特許商標庁(PTO)に、使用前に商標を出願することが重要なのでしょうか?
商標法によれば、商標とは「法人または自然人の商品を識別するために用いられる表示」と定義されています。したがって、保護可能なあらゆる語句、デザイン、スローガン、音、記号などが、特定の事業者の商品またはサービスを識別する商標となり得ます。商標として機能し得る表示の種類は限定的ではなく、また、非伝統的商標の登録も認められています。
ロシアは先願主義を採用しているため、使用を開始する前に商標を出願することが重要です。商標法は原則として、先使用権を認めていません(原則として、商標の独占的使用権は国に登録することで初めて発生します)。
Q:アジアの企業が自国の文字で商標を出願することはできますか?

パートナー
Gorodissky & Partners
モスクワ
ロシアの消費者の大多数は中国語、日本語、韓国語などのアジア言語を理解しません。そのため、これらの言語の文字からなる表示はPTOによって図形商標と見なされ、それ自体が識別力を欠いていると判断されることはありません。また、こうした表示の出願に特別な要件はありません。
とはいえ、ある表示が商標として登録されるためには一定の要件を満たす必要があります。特に、虚偽や誤解を招く要素を含まないこと、出願した商品リストに関して記述的ではないことが求められます。
したがって、中国語、日本語、韓国語の文字からなる表示は一般的に図形商標と扱われますが、出願時に意味内容が提供されていない場合は、審査官はその文字の意味内容を照会することがあり、その上で登録可能性について通常の法的基準を適用する可能性があります。
文字商標は口頭での使用が一般的で、消費者が記憶しやすく、発音しやすいことから、アジアの企業はラテン文字版および/またはキリル文字版の出願も併せて検討することが合理的です。これにより消費者がそのブランドを容易に認識できるようになります。また、このように登録することで、法的保護の範囲を強化・拡大し、混同を招くような類似したラテン文字またはキリル文字商標を、第三者が出願する可能性を防止することにもなります。
アジア文字の表示について、ラテン文字版とキリル文字版を登録することの重要性を示す最新の事例の一つが「DOSIRAK事件」です。
ある第三者がキリル文字で「КАРИСОД(KARISOD)」という文字要素を含む結合商標を出願しましたが、この表示は韓国企業のブランド「DOSIRAK」を逆さに並べたアナグラムであり、ラテン文字およびキリル文字で登録されているDOSIRAK商標と紛らわしい類似性があるとして、登録が拒絶されました。
また、商標のラテン文字版とキリル文字版のいずれを選択すべきかを検討する際には、公共の利益や道徳的原則に沿っているかを確認することも重要です。アジア言語の特定の言葉は、発音するとロシア語の下品な表現に似て聞こえる場合があるため、特に重要です。
そのような類似があると、その標章は公共の利益や道徳的基準に反していると見なされ、商標登録が全面的に拒絶される可能性があります。このような問題を防ぐため、商標の出願前にロシアの販売代理店や商標弁護士へ相談することを強く推奨します。
Q:出願後は、どのような手続きが行われますか?
ロシアのPTOは現行の行政規則に基づいて、出願日から約18カ月以内に商標出願を審査することになっています。しかし、PTOは審査期間の短縮に積極的に取り組んでおり、現在では平均6~8カ月で審査が行われています。追加料金を支払うことで、2カ月以内の迅速審査手続きが利用可能です。
Q:同意書は認められますか?
審査官が先行商標を障害として引用した場合、その権利者からの同意書があれば、審査の過程で考慮されることがあります。ただし、同意書を提出したからといって、審査官が無条件にそれを受け入れる義務はありません。同意書の受理は両商標間に混同の恐れがないかどうかに左右されるため、商標同士の類似性が高い場合には、同意書が提出されていても考慮されないことがあります。
Q:審査官による拒絶は最終的なものですか?
審査官の決定が不利なものであった場合、4カ月以内に特許紛争部に対して不服申立てが可能です。この期限を過ぎても、6カ月以内であれば、罰金を支払うことで申立てを再開させることができます。特許紛争部が出願人の主張を認めない場合は、審査官の決定が維持され、その後3カ月以内に知的財産裁判所にさらに上訴することができます。
Q:商標は法律に従ってどのように使用すべきですか?
使用要件の下では、商標は登録された通りに、または本質や識別力を損なわない程度の、わずかに変更した形で使用しなければなりません。したがって、不使用取消審判においては、発行された登録証に基づいて、あるいは本質的ではない範囲の変更で商標を使用していることを証明する必要があります。商標が登録した形態と異なる形で使用をされている場合、その変更は本質的か否かが紛争の焦点となります。したがって、実際に使用する形態で、または将来使用するだろう形態で出願することが推奨されます。
なお、商標の使用は義務付けられており、使用しない場合、利害関係を有する第三者の請求によって商標が早期に抹消される可能性があることにも注意が必要です。
商標登録日から3年が経過すると、不使用を理由とする取消審判の対象となります。何らかの理由で3年以上、商標の使用がなかった場合は、不使用または使用不足によるリスクの可能性の観点から、商標権を維持するために再出願を検討することが推奨されます。
Q:企業が第三者による類似商標の登録を防ぐには、どうすればいいでしょうか?
ロシアには係属中の出願に対する異議申立て手続きはありません。しかし、係属中の出願に対して決定が下される前に、意見書を提出して、類似の商品またはサービスに対して登録されている類似商標に関する第三者の先行権利の存在を、審査官に喚起することが可能です。
意見書は審査段階で、対立する商標の登録を阻止するために極めて有効な手段です。類似商標を特定し、適時に意見書を提出するために、事前にデータベースや商標登録簿を監視する体制を整えておくことが重要です。
Q:既に類似商標が登録されている場合、どうすればよいですか?
発見された商標がすでに登録されている場合は、PTOの特許紛争部に対して、先行権利または誤認を生じさせるその他の理由に基づいて、正式な無効審判請求を行うことができます。先行権利に基づく無効審判請求は公告日から5年以内(期限の延長は不可)に行う必要があり、絶対的理由に基づく無効審判請求は、商標の有効期間中であればいつでも行うことが可能です。
結論として、すべての外国出願人は、PTOでは登録商標弁護士による代理を受けなければならない点に注意が必要です。したがって、商標権者は上記の手続きを行うに当たって、商標の利用可能性や登録可能性、適切な使用方法、新規または追加出願の必要性について助言を提供できる、有資格の商標弁護士から専門的な支援を受けるべきです。商標弁護士はまた、第三者による類似商標の出願の特定をするために、PTOのデータベースを適時監視する業務も行います。
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Moscow 129090, Russia
Tel: +7 495 937 6116
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台湾における商標保護について
商標は登録されることによって保護されます。加えて、台湾は先願主義を採用しています。登録可能な商標の種類は以下の通りです。
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- 商品およびサービスの商標、
- 団体商標、
- 証明商標、
- 商品およびサービスの団体商標。
識別力を有するすべての標章は商標として登録可能です。さらに、非伝統的商標に関する審査基準によれば、におい、パターン、位置も商標として登録可能であり、触覚および味覚の標章は例外的な場合にのみ登録可能です。

パートナー
Deep & Far
Attorneys-at-Law
台北
Tel: +886 2 25856688
Email: lawtsai@deepnfar.com.tw
登録手続き:出願は智慧財産局に提出します。複数区分での出願も可能です。台湾に住所または事業所を有しない外国出願人は現地代理人が必要です。ただし、認証済みおよび/または公証済みの委任状は不要であり、外国出願人は国内の会社や住所の登録も必要ありません。
出願手続きには、方式審査、絶対的拒絶理由(例:識別力)の審査、相対的拒絶理由(例:混同のおそれ)の審査が含まれます。本来識別力がない標章でも、使用することで識別力を獲得した場合は登録可能です。
国内商標に対する異議申し立て:商標登録の公告日から3カ月間が異議申し立て期間です。
存続期間:商標登録は登録公告日から10年間有効です。商標登録は10年ごとに更新可能です。
商標更新の猶予期間:商標は有効期限の6カ月前から更新手続きが可能です。
商標更新の猶予期間は、登録の有効期限後6カ月間です。猶予期間が経過すると、商標登録は自動的に消滅します。
消滅した商標は回復できません。ただし、商標権者が天災地変(不可抗力)や権利者に帰責できない事由により猶予期間内に更新できなかった場合、その事由が消滅した日の翌日から30日以内であれば回復申請が可能です。ただし、猶予期間経過後1年を超えると、回復申請をすることはできません。猶予期間内に更新申請がなされなかった場合、消滅した商標はいつでも第三者の名義で再登録することができます。
使用要件:商標が登録公告日から3年間使用されていない場合、またはその後、正当な理由なく継続して3年間使用されていない場合、智慧財産局は職権により、または第三者の請求に基づいて、当該商標登録を取り消すことができます。
商標の不使用を主張する者は、商標登録取消の請求時に明らかな(prima facie)証拠を提出する必要があります。一方、取消手続きが開始された後は、商標権者は商標の使用を証明する責任を負います。さらに、不使用を主張する者は取消に対する正当な利益を証明する必要はありません。
使用は台湾国内でのみ必要とされます。商標法でいう商標の使用とは、関連する消費者が出所表示として認識できるよう、以下のいずれかの状況で商標をマーケティング目的で使用することを指します。
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- 商品またはその包装に当該商標を付すこと
- 当該商品を所持、陳列、販売、輸出または輸入すること
- 提供するサービスに関連する物品に当該商標を付すこと
- 商品またはサービスに関連する商業書類や広告に当該商標を付すこと
デジタル動画やオーディオ、電子メディア、インターネット、その他のメディアでの商標の使用も、商標の使用に該当します。使用は継続的である必要はなく、散発的、一時的、または一度きりの使用でも十分です。ただし、類似または関連する商標の使用は必ずしも十分とは限りません。登録された形態と異なる形で商標を使用した場合でも、変更がごくわずかであり、商標の識別力のある部分が変更されていなければ、商標の使用と見なされます。
以下の場合には、異なる形態での使用は有効な使用とは見なされません。
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- カラー商標が白黒に変更された場合
- カラー商標の色が変更された場合
- 商標の一部のみが使用された場合
商標ライセンス契約:台湾では、ライセンス契約は書面または口頭のいずれでも締結することができます。未登録商標のライセンスも認められています。登録商標は、指定された商品またはサービスの全部または一部についてライセンス供与ができます。ライセンスは、独占的または非独占的のいずれでも可能です。登録商標がライセンス登録簿に記録された後に譲渡された場合でも、譲受人は引き続きライセンス契約に拘束されます。登録商標の売却は、登録簿に記録されている場合、ライセンスを自動的に終了させるものではありません。
商標法は以下の事項を規定しています。
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- 商標が商標ライセンス登録後に譲渡された場合、譲受人はライセンス契約に拘束される
- 独占的ライセンシーは、商標権者およびいかなる第三者によるライセンス商標の使用を排除する権利を有する
- 独占的ライセンシーは、商標をサブライセンスする権利を有する
- 商標権者は権利を放棄することができるが、ライセンスまたは質権が登録されている場合、商標権者はライセンシーまたは質権者の同意を得なければならない
商標法には、商標ライセンスの登録に関する規定があります。商標ライセンスの登録は任意ですが、智慧財産局に登録されて初めて、第三者に対して効力を生じます。登録申請は、商標登録の有効期間終了前に行う必要があります。
ライセンス期間は登録期間を超えることができます。この点について、商標登録が更新期限内に更新された場合、ライセンスを再度登録する必要はありません。商標登録が更新期限内に更新されない場合、登録の失効とともにライセンス登録も失効します。ただし、未登録商標に関するライセンス契約は、引き続きライセンサーとライセンシーの間で有効です。
ライセンス契約の形式および/または内容について、法による規定はありません。商標ライセンスの登録申請は、商標権者またはライセンシーが、以下の事項を記載した書面によって行うものとします。
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- 商標権者およびライセンシーの氏名、住所(居所または事業所)、国籍または所在地。代表者がいる場合はその氏名
- 代理人がいる場合は、その氏名および住所(居所または事業所)
- 商標の登録番号
- ライセンスが独占的か非独占的か
- ライセンスの発効日、および終了日がある場合はその日付
- 指定商品またはサービスの一部についてのライセンスの場合は、その商品またはサービスおよびその区分の一覧
- 特定の地域についてのライセンスの場合は、その地域の名称
ライセンス契約によって、ライセンスの発効時期が決定します。ライセンスは、そのライセンス登録が官報に公告された日に、第三者に対して効力を持つようになります。未登録のライセンスは公告の必要はありません。
登録されたライセンシーによる商標の使用は、合法的な使用であるとの証拠上の推定がなされます。非独占的ライセンシーは、商標権者が裁判所に第三者参加を申立てない限り、商標権者の侵害訴訟に参加することはできません。
商標法は、独占的ライセンシーが、ライセンス契約に別段の定めがない限り、自己の名義で侵害訴訟を提起する権利を有することを規定しています。ライセンシーは、そのような訴訟において商標権者を共同被告として指定する必要はありません。

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