フィリピン不動産法の現状を読み解く

    By Nilo T Divina、Ciselie Marie T Gamo-Sisayan そして Danica Mae M Godornes、DivinaLaw
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    フィリピンの不動産業界は、国家の利益と投資機会のバランスを取るという、複雑な法的枠組みの下で成り立っています。この法的枠組みは、国家主権を保護する土地所有に関する憲法上の制限を基盤とする一方で、生産的な外国投資を誘致しようとする政策によって推進されています。

    近年、フィリピンの不動産開発には外国資本が流入しています。この流入は、住宅、商業、工業用地に対する需要の高まりによるものです。2024年のフィリピンのGDP成長率は5.8~7.0%と予想されており、フィリピンの不動産市場への外国からの関心は継続すると予想されています。また、情報技術とビジネス・プロセス管理の分野や、政府の取引活動においても継続的な成長が見られます。これは、オフィスや商業用地の需要が継続していることにつながっています。

    メトロ・マニラ以外の地域でタウンシップや複合用途開発プロジェクトが進行しており、住宅市場は広範囲に拡大しています。政府は、特定の地域での商業活動を促進するために、財政的な優遇措置を提供する法律を制定し、都市部から離れた地域での不動産開発を促すよう誘導しています。

    基盤

    Nilo T Divina
    Nilo T Divina
    マネージング・パートナー
    DivinaLaw
    メトロ・マニラ
    Email: nilo.divina@divinalaw.com

    1987年フィリピン憲法は財産権の包括的な枠組みを提供しており、フィリピン権利章典は私有財産の保護に重点を置いています。また憲法は国策として、国益と国家主権を最優先で考慮するよう定めています。これに準じて、憲法は土地所有権を規制しています。土地所有はフィリピン国籍保有者のみ、またはフィリピン資本が60%以上のフィリピン法人に限定されています。

    フィリピン民法は、同国の財産に関する法律の礎となるものです。個人および法人の不動産取引に適用される財産権と取引について、詳しく規定しています。そして、所有権の移転を、有効で法的に強制力のあるものにする必要条件を定めています。

    不動産の売却、または1年以上のリース契約は書面で行う必要があります。不動産に関する権利の設定、移転、変更、抹消に関する契約は、公文書で行われなければなりません。

    外国投資

    Ciselie Marie T Gamo-Sisayan
    Ciselie Marie T Gamo-Sisayan
    パートナー
    DivinaLaw
    Email: ciselie.gamo@divinalaw.com

    外国投資家は、土地所有の制限はあるものの、フィリピンの不動産への投資や参入が可能です。

    外国投資家リース法〔共和国法(RA)第7652号〕は、外国投資家が私有地を50年間リースすること、さらに25年を限度として更新することを許可しています。リースされた土地は、投資目的のみに使用されることが定められています。外国投資事業を中断する際は、連続して3年を超えることはできません。

    外国人はまた、コンドミニアム・プロジェクトに投資することができます。コンドミニアム・プロジェクトにおける外国所有権は、合計で40%を超えることはできません。

    外国人は、不動産投資信託(REIT)ファンドにその発行済み株式資本の40%まで投資することができます。REITは、投資家に、収益を生む不動産のさまざまなポートフォリオに投資する機会を提供しています。これによって、個々の不動産への投資に比べて、リスクが軽減されます。REITはフィリピンの株式市場で取引されており、流動的で透明性の高い投資を促進しています。

    土地の登記

    Danica Mae M Godornes
    Danica Mae M Godornes
    シニア・アソシエイト
    DivinaLaw
    Email: danica.godornes@divinalaw.com

    フィリピンでは、不動産管理は不動産登記令〔大統領令(PD)第1529号〕と土地登記法(法律第496号)などの法律や法令によって規定されています。これらの法律は土地登記の手続きを規制するものです。

    フィリピンでは、土地保有権原の真正性を保証し、ひとたび所有権の主張が確定された後はその確定力を保護するという、トレンズ・システムの土地登記を採用しています。登記された土地を取引する者は、権原に記載された以上のことを確認する必要はなく、権原に記載された各種の負担や請求についてのみ、責任が生じることになります。

    未登記の土地は、管轄権を有する裁判所への申請を通じてトレンズ・システムに組み入れることができます。裁判所が申請者の権原が登記するに十分にふさわしいと判断した場合、判決によって申請者の権原を確定することになります。フィリピン土地登記局は登記令と、それに対応する権限証書発行します。

    登記された土地の所有者は、既存の法律に従って、その土地を譲渡、抵当件設定、リース、その他の取引を行うことができます。その場合、取引を証明する書類は、物件が所在する地域の不動産登記所に登録されます。

    登記とは、第三者に対して土地を譲渡または影響を与える効力を持つ行為であり、登記の時点からすべての人に対して、その通知がなされたものとみなされます。所有権の移転の場合、元の権限証書は取り消され、新しい所有者に権限譲渡証書が発行されます。リース、抵当、その他の担保権の場合は、権限証書に裏書きされます。

    トレンズ・システムは、コンドミニアムの区分所有権や権益の登記にも採用されています。

    環境保護

    環境に関する法律も、フィリピンの不動産業界に影響を与えています。これらの法律は、不動産開発の環境への影響に対処し、自然資源と公衆衛生を保護するために、責任ある土地利用を促進することを目的としています。

    環境保護に関する基本となる法律は「国家環境政策(PD第1151号)」です。これは環境管理と規制の枠組みを提供し、国家の開発計画やプロジェクトに環境への配慮を組み込んだものです。

    PD第1586号により制定されたフィリピン環境影響評価制度は、環境に重大な影響を与える可能性のあるプロジェクト、または環境の質に著しく影響するあらゆるプロジェクトが提案されるのに際して、環境影響評価を義務づけています。環境天然資源省から事前に環境適合証明書を取得しない限りは、いかなる個人、パートナーシップ、企業も、環境的に重要な影響があると指定されたプロジェクトや地域については、着手することも、運営することもできません。

    不動産開発業者が考慮しなければならない、その他の重要な環境に関する法律には、大気浄化法(RA第8749号)、水質浄化法(RA第9275号)、固形廃棄物管理法(RA第9003号)があります。

    国の法律に加えて、地方自治体は独自の環境規制や条例を施行しています。これには、環境クリアランスの追加要件、ゾーニング規制、地域の環境問題に対処するための特定の措置が含まれる場合があります。開発業者は、国家や地方の環境基準を遵守するために、これら地方の規制に対処しなければなりません。

    地方の成長の促進

    フィリピンでは、地方自治体がゾーニングや土地利用規制を実施・施行しています。

    地方自治体には、バランガイ、町、市、州があります。これらの自治体は、自らの管轄内での土地利用計画、ゾーニング、開発に関する条例を策定し、施行します。

    これらの条例は、土地を住宅、商業、工業、農業、公共用地などの異なるゾーンに分類し、それぞれのゾーンで許可される活動や建築基準に関する具体的な規制を設けています。この地方分権的なアプローチは、地方自治法(RA第7160号)で導入されました。この法律により、都市の成長と環境保護、社会的な目標とのバランスを取りながら、地方自治体が自らのコミュニティの特定のニーズや条件に合わせて、規制を調整する権限が与えられました。

    不動産税

    地方自治体はまた、不動産税の評価と徴収も担当しています。税率は、各自治体がそれぞれの管轄内において条例で課している税率によって異なります。不動産税は、各自治体の地方評価官が決定する不動産の評価額に対して課されます。

    先般の不動産価値評価改革法(RA第12001号)によって、フィリピン全土の不動産評価が標準化されました。すべての不動産は、地方政府財務局が採用した基準に従って、現在の市場価値に基づいて評価されなければなりません。注目すべきことは、この法律は施行から2年間の不動産税免除を定めたことです。

    不動産の譲渡には、国家政府と地方自治体の両方から課税されます。不動産売却益(贈与、遺産などの他の譲渡)と印紙税は、内国歳入庁(BIR)を通じて国家政府に支払われます。所得税率は、不動産が通常資産または資本資産として保有されているか、そして、売主のステータスによっても異なります。不動産が売却目的で保有されているか、事業で使用されている場合、譲渡には付加価値税が課されることもあります。

    地方自治体、特に州や市は、適正市場価値または総対価のいずれか高い方に基づいて不動産譲渡税を課します。

    地方登記所は、いかなる証書の登録に際しても、税金の支払い証明を要求します。買主は、BIRが発行する登記許可証明書と地方自治体への譲渡税の支払い証明を提出する必要があります。

    フィリピンの不動産に関する法的枠組みは、国益と外国投資を誘致する必要性のバランスをとるために、複雑なものになっています。これは、国家の経済目標と地方の開発優先事項を調和させ、投資家にとって魅力的で、かつ、コミュニティのニーズに応える環境を促進します。政府は、不動産市場をより魅力的にするために、不動産管理と課税を継続的に改善し、合理化しています。

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