インドネシアの独占禁止法違反審査についての批判的考察

    By Miriam AndretaとPutri Bening Larasati と Prisca Octavia Rumokoy、Walalangi & Partners
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    インドネシアにおいて独占禁止行為を規制する主な法律は、独占的行為及び不公正な事業競争の禁止に関する法律1999年法律第5号〔雇用創出についての法律代替政令2022年第2号(法律2023年第6号で法律化)で最終改正〕で、一般にインドネシア独占禁止法(IAL)として知られています。

    Miriam Andreta
    Miriam Andreta
    パートナー
    Walalangi & Partners
    ジャカルタ
    Tel: (+62-21) 5080 8600
    Email: Mandreta@wplaws.com

    IALは、1998年にインドネシアを襲った通貨危機の直後、ドイツの独占禁止法の要素や、国連貿易開発会議(UNCTAD)により発行された国際公認基準を採り入れて制定された法律です。

    IALの条項の中でもとりわけ主要となるのは、カルテル、排他的協定 (closed agreement)、垂直統合、優越的地位の濫用などの、競争や不公正な商慣行を制限する協定と行為の禁止、さらに合併の規制です。

    独占禁止法の監督機関として、IALは事業競争監視委員会(Komisi Pengawas Persaingan Usaha/KPPU)の設立を義務付けています。これはインドネシア共和国大統領に対して直接責任を負う政府機関です。KPPUは、企業競争を監督し、調査や、反競争的行為で有罪とみなされた企業に罰金・その他の形態の罰則を課することを通じて、法律を執行する広範な権限を持っています。

    制定を急いだために、IALは、インドネシアの急速に進化する経済状況や、複雑な独占禁止問題に十分に対処していないとの批判に直面しています。規制上のギャップを埋めるために、KPPUは折に触れてKPPU規則やガイドラインを発行してきましたが、これらはインドネシアの法的階層においてどのように位置づけられるのか、現場の実務家からは疑問視されてきました。それでもなお、これらの規則やガイドラインは、一般に日常業務の参考基準として受け入れられ、活用されています。

    本稿では、KPPUによって裁決されたいくつかの重要な事例を取り上げ、排他的協定やカルテルに関する見解や解釈を解説し、特にこれらの事例において、規制とのギャップに対してKPPUがいかに対応しているのかに焦点を当てます。また、合併後のアプローチに適用されるIALの下での合併規則ルールについても簡単に説明し、政府によるIALの改正計画の動向についても触れていきます。

    重要な事例におけるKPPU

    Putri Bening Larasati
    Putri Bening Larasati
    アソシエイト
    Walalangi & Partners
    ジャカルタ
    Tel: (+62-21) 5080 8600
    Email: Plarasati@wplaws.com

    排他的協定 IALの第15条は、排他的協定、抱き合わせ協定、値引きに関する垂直協定など、他の当事者が同様の取引を行うことを妨げる協定を禁止しています。

    2006年、インドネシア最大規模のセメントメーカーに関して、注目すべき事例がありました。KPPUは、このセメントメーカーが販売業者のコンソーシアムを設立したことを違法と判断しました。セメントメーカーはこのコンソーシアムを通じて、販売業者が他のメーカーの製品を取り扱うことを制限し、指定された顧客や地域にのみへの販売に限定しました。

    KPPUは、この行為がIAL第15条第1項に違反していると判断しました。この条項は、企業が買い手に対して特定の関係者、および/または特定の地域に商品を供給、または、そうでなければ再供給しないように強制、または制限することを明確に禁止しています。

    セメントメーカーは最高裁判所レベルまで控訴しましたが、インドネシア最高裁判所はそれを棄却し、セメントメーカーがIAL第15条第1項の規定に違反したというKPPUの判断を支持しました。

    この観点は、特に複数の販売業者が関与する事例と深く関連します。例えば、販売店レベルでの同一ブランド内の競争を避けるために独占販売契約を結ぶことは、ビジネス上、賢明である場合もあるからです。一部の専門家も、独占販売協定が着実な流通を実現し、コストを削減し、結果として効率性を効果的に向上させると指摘し、この見解を支持しています。

    Prisca Octavia Rumokoy
    Prisca Octavia Rumokoy
    アソシエイト
    Walalangi & Partners
    ジャカルタ
    Tel: (+62-21) 5080 8600
    Email: Prumokoy@wplaws.com

    これらの懸念を認識した上で、KPPUは2011年、KPPU規則第5号に基づく排他的協定についてのKPPUガイドラインを発行することで、合理の原則に基づくアプローチを採用する方向への転換を示唆しています。そのガイドラインによれば、IAL第15条に基づいて排他的協定を審議するために、合理の原則に基づくアプローチがより賢明であるとKPPUは示しています。

    カルテル IALの第11条とKPPUにより発行された実施規則は、カルテルに関する一般的な規則を定めています。すなわち、(1)価格協定(IAL第5条)、(2)市場分割(IAL第9条)、(3)集団ボイコット(IAL第10条)などです。

    実際、カルテルはKPPUによって「最も積極的に調査された事例」の一つであり、2003年~23年の間に、KPPUのデータベースには20件以上のカルテルの事例が記録されました。

    カルテルの存在を証明することは、KPPUが直接証拠にのみに依拠することを義務付けているIALの厳格な要件のために、KPPUにとって困難なことです。しかし、2017年の重要な事例では、KPPUは幹部会議を通じた当事者間のコミュニケーションや価格平行性につながる協調行動は、価格操作の確固たる証拠と見なされるべきと主張しました。

    批判に直面しながらも、KPPUはその立場を堅持し、状況証拠に基づいて、関与した企業を価格操作で有罪であると判断しました。KPPUの判断は最高裁判所に支持され、状況証拠の使用がインドネシアの裁判所で受け入れられた最初のケースの一つとして位置づけられました。

    この事例を受けて、カルテル事件を含む競争事件を取り扱うに当たり、KPPUはその規制を通じて、経済的証拠(すなわち、定量的および/または定性的データ処理方法によって裏付けられる経済的な仮説を用いること)、またはコミュニケーションの証拠(すなわち、会議やコミュニケーションの内容を説明するか否かを問わず、会議やコミュニケーションを行うこと)にかかわらず、状況証拠の許容を引き続き認めています。

    このため、間接的な証拠に依存することが重要な問題を引き起こす可能性があると信じる実務家や学者からは、多様な反応が寄せられています。例えば、市場における価格平行性のパターンは、意図的な価格操作協定によるのではなく、むしろ純粋なビジネスの競争によって自然に発生する可能性があります。

    法律上・財務上の潜在的な問題を回避するためには、企業は慎重に行動すべきであり、他企業とコミュニケーションをとる場合、それが同業者による集会であっても、たとえカジュアルな交流であっても、事前に現地の弁護士にアドバイスを求めるべきです。

    合併規制

    他の多くの法域とは異なり、インドネシアでは、オフショア合併や資産(土地や工場などの有形資産、知的財産権や消費者データなどの無形資産の両方)の譲渡に対して適用される、強制的な合併後の届出要件が義務付けられています。

    合併後の届出義務は、非関連当事者が関与している場合、支配権の変更が生じる場合、インドネシアにおける資産および/または売上が一定の閾値を超える場合、またはすべての取引当事者がインドネシアに資産および/または売上を有する場合など、特定の条件が累積して満たされた場合にのみ発動します。

    届出は合併の発効日から30営業日以内に、KPPUに提出する必要があります。期限を守らない場合、多額の金銭的罰金が科される可能性があります。したがって企業は、この強制的な合併後の届出要件を効果的に処理するために、現地の弁護士を雇うことが不可欠となります。

    新しい独占禁止法案

    新しい独占禁止法案が、現在、議会で審議されています。この法案は、既存のIALに代わって合併前届出制度を導入するものです。いつ法律が施行されるのかの時期は未確定ですが、関係者は現在の取引に影響を与える可能性のある潜在的な変更について、注意を払う必要があります。

    この法案は、合併前の反競争的な慣行の検出の強化をねらったものですが、これにより合併プロセスが潜在的に遅延し、買収対象企業の評価に影響があるのではという根強い懸念が残されています。

    WALALANGI & PARTNERS (IN ASSOCIATION WITH NISHIMURA & ASAHI)WALALANGI & PARTNERS (IN ASSOCIATION WITH NISHIMURA & ASAHI)
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