台湾の資本市場2025:IPO、制度改革、AI関連資金調達

    By James Hsiao ・Iting Huang / Dentons
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    台湾の資本市場は2025年に厳しいスタートを切りました。米国が課した関税措置と、著しく高まった市場のボラティリティおよび貿易の不確実性の影響を大きく受けたためです。投資家心理は慎重なまま推移し、資本市場活動の大半は上半期において著しく減速しました。市場の信頼感は9月頃になってようやく回復し始め、これは主に、スタートアップ企業におけるIPO活動の再開と、AI関連サプライチェーンに参画する企業による外貨建て資金調達需要により牽引されたものでした。

    2024年~25年の台湾のIPO活動

    台湾の資本市場は2024年に力強いパフォーマンスを示しました。台湾イノベーションボード(TIB)への上場企業、店頭市場からメインボードへの移転、持株会社への転換を含む新規上場会社の総数は、2023年の45社から増加し、67社に達しました。また、資金調達総額は576億台湾ドル(18億3000万米ドル)となり、前年の379億台湾ドルを上回りました。

    業種別に見ると、バイオテックおよび医療分野が引き続き支配的で、2023年の7件から2024年には15件に増加し、これに半導体分野の9件の上場が続きました。台湾イノベーションボードは、高いイノベーションの可能性と成長の見通しを有する企業、特に軽資産型セクター、デジタル・クラウドサービス、スマートヘルスケア、グリーンテクノロジー分野の企業への支援に引き続き焦点を当ててきました。

    台湾および海外上場を促進する台湾の制度改革

    James Hsiao, Dentons
    James Hsiao
    シニア・パートナー
    Dentons
    台北
    Tel: +886 2 2702 0208 (ext. 206)
    Email: james.hsiao@dentons.com.tw

    台湾の株式市場を強化するため、2025年、台湾証券取引所(TWSE)は一連の4つの主要な規制改革を発表しました。これらの施策は、台湾での上場を目指す台湾企業および外国企業の双方のための手続の合理化を目的に設計されました。

    主な改革内容は、カストディ期間の短縮、引受証券会社のスポンサー義務の軽減、内部統制報告要件の簡素化です。これらの措置により、上場の障壁が低くなり、上場までの期間が短縮され、革新的な企業を台湾の資本市場に呼び込むことができます。

    TIBにおける取引流動性の拡大:2025年1月6日、TWSEはTIB上場株式に関する適格投資家向けの制限を全面的に撤廃し、潜在的な市場参加者の裾野を大幅に拡大しました。流動性を高める追加措置として、TIB株式のデイトレーディングの導入、投資信託の投資制限の緩和、投資信託によるTIB株式への投資上限の緩和TIB株式を上場投資信託の原資産として明示的に認めることが含まれます。

    台湾企業のための上場手続の迅速化:収益実績のある台湾企業による迅速な市場参入を促進するため、TWSEはTIB制度におけるコンプライアンスおよび報告義務を合理化しました。主な調整事項は以下のとおりです。

      1. カストディ期間を2年から1年に短縮すること
      2. 引受証券会社のスポンサー期間を短縮すること
      3. 内部統制報告要件を3事業年度から1事業年度に短縮すること

    これらの措置は総じて、法的および手続的障害を軽減し、高成長する台湾企業が上場し、台湾の資本市場へ積極的に参加することを目的としています。

    外国企業(KY株式)のための上場規則の最適化:国際競争力のある外国企業を誘致するため、TWSEは、台湾および中国本土以外に事業拠点および株主構成を有する企業を対象として、柔軟な調整を行いました。特に当該規則は柔軟な独立取締役要件を導入し、台湾を拠点とする独立取締役については2名のみを義務付け、引受証券会社によるスポンサー期間および内部統制報告期間を短縮しました。これらの改革は、革新的な外国企業にとって台湾を魅力的な上場先とすることを意図したものです。

    ボード間移行メカニズムの強化:最後の改革は、ボード間移転についての大幅な柔軟性の導入です。これにより企業は自社の戦略的需要に応じて、TIB、メインボード、店頭市場の間を移動できるようになります。対象となる企業は、移転先ボードの基準を満たすことを条件に、上場後1年を経過した後、移転申請することができます。このアプローチにより、企業は市場における認知度の向上、資金調達、長期的成長のための最も適したプラットフォームの選択が可能になり、よりダイナミックで応答性の高い資本市場エコシステムの構築が実現します。

    AIサプライチェーンの成長に伴う台湾のクロスボーダー資金調達

    Iting Huang, Dentons
    Iting Huang
    アソシエイト
    Dentons
    台北
    Tel: +886 2 2702 0208 (ext. 209)
    Email: iting.huang@dentons.com.tw

    台湾におけるAI関連サプライチェーンの急速な拡大は、上場企業に相当額の外貨資金需要を生み出し、2025年には、国際預託証券(GDR)および対外商業借入、またはオフショア転換社債(ECB)の発行による、一連のクロスボーダー資本市場取引を促進しました。

      1. WT Microelectronicsは、2025年後半にデュアルトラックによる発行を完了し、約3億8880万米ドルのGDR発行と、総額3億5000万米ドルのECBから構成される、合計7億3880万米ドルを調達しました。この取引は、同社の歴史上、最大の資金調達となりました。調達資金は、AI関連部品の海外調達、および米国と欧州の産業・自動車市場における国際サプライチェーン事業の拡大に充てられました。この取引は、同社の戦略的ビジョンならびに将来の成長可能性について、市場が大きな信頼を寄せていることを示しています。
      2. BizLinkは、2025年9月に、転換価格は30%のプレミアムが付加された3億米ドル(約90億台湾ドル相当)の第6回ECB発行を完了しました。この発行は、コネクタ業界での単一の資金調達として過去最大規模となりました。BizLinkはSENKO Advanced ComponentsおよびficonTEC Serviceと提携し、統合型の光インターコネクト・ソリューションを共同開発しました。これは先進的な光通信インフラ向けのもので、AIデータセンターの高性能要件を満たすものです。
      3. Wistron Corporationは2025年10月に12億米ドルのECB発行を完了し、部品調達に必要な外貨資金調達需要に対応しました。並行して、次世代AI製品の研究、開発、製造能力の支援のため、Wistronはカリフォルニア州フリーモントの子会社への設備投資額を7100万米ドルから1億4300万米ドルに増額しました。同社はまた、ダラスの施設の建設を加速し、建物の改修に6250万米ドルを配分しました。その一方、ダラスのアフターサービス施設には、先進的なAIプラットフォーム製品に対する顧客要件を満たすため、最大1290万米ドルの追加投資を実施しました。これらの取り組みは、外貨資金の確保、研究開発および製造能力の拡大、グローバルなAIサプライチェーンにおける戦略的地位の強化に向けた、Wistronの積極的な姿勢を反映しています。
      4. Quanta Computerは2025年に、転換価格に40%のプレミアムを付加した10億米ドルのECB募集を完了しました。調達資金は、部品調達のための外貨資金需要に充てられました。Quantaは、2025年の資金調達活動は3つの主要因によるものだと説明しました。つまり、AIサーバー出荷への支援、海外製造能力の拡大、複数の法域にわたる生産の分散です。これらの戦略的取り組みにより、外貨資金需要が大幅に増加しました。

    AI再編下における台湾の資本市場

    要約すると、台湾の規制枠組みは、台湾企業および外国企業の双方にとって段階的に利用しやすいものになっており、参入障壁を低減させるとともに、台湾の株式市場を通じた資金調達を促進しています。この進化する規制環境により、台湾企業および海外企業が成長に必要な資金を確保できるようになる一方、台湾資本市場全体の競争力の向上が実現するという、相互に有益な結果がもたらされます。

    2025年、AI関連サプライチェーンの拡大により、上場企業の大幅な外貨資金需要が生み出されました。今後を展望すると、AIハードウェアおよび関連部品への継続的な需要により、クロスボーダー資本市場取引および資金調達活動は、2026年初頭にかけて持続すると予想されます。

    さらに市場動向は、米国の製造業現地化政策を背景に、台湾企業は大中華圏から米国およびメキシコへとサプライチェーンのシフトを加速させていることを示しています。このような移転は産業上のポジショニングに影響を及ぼし、台湾企業は、北米での生産拠点の設立に加え、先進的な製造、パッケージング、研究開発能力の拡充が求められています。これらの動向により設備投資と外貨資金調達需要は一層増大し、台湾・海外の資本市場活動を支えていくことになるでしょう。

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