日本におけるガバナンス法制改革

    By 上嶋孝法 • 宮関貴臣 • 池本百惠/西村あさひ法律事務所
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    2024年6月7日、日本の金融庁は「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム2024」を公表しました。このアクション・プログラムにおいて、「日本版スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」は、コーポレートガバナンス改革の実効的な実施を促進するための一連の提言を示しました。

    Takanori Ueshima
    上嶋孝法
    パートナー
    西村あさひ法律事務所・外国法共同事業
    東京
    Tel: +81 3 6250 6200/+81 70 2182 2892
    Email: t.ueshima@nishimura.com

    これらの提言は、コーポレートガバナンスの基本的な目的、すなわち企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を再確認した上で策定されています。フォローアップ会議は、個々の企業が講じた具体的な施策を評価・共有することにより、企業や投資家の自発的かつ自律的な意識改革やコーポレートガバナンス実践の改善を促すことを目指しています。

    この規制上の取り組みは、外国人投資家の日本資本市場における存在感の高まりなど、いくつかの要因によって推進されています。これにより、情報開示の慣行の強化に対する需要が高まっています。同時に、十分な資金力を有するアクティビスト投資家が時価総額上位の企業の株主として提案を行うなど、株主アクティビズムも活発化しています。

    これらのアクティビスト投資家は、企業戦略や経営課題に関する問題を提起し、それにより、企業に対してコーポレートガバナンスの改善を求める圧力をかけています。こうした動向を踏まえ、より透明性が高く公正な投資環境の整備が強く求められています。

    以下のセクションでは、この分野の最近の動向を踏まえた金融庁のアクション・プログラムをはじめとする、主要なコーポレートガバナンス改革の取り組みを概説します。

    TOB規制

    Takaomi Miyazeki
    宮関貴臣
    アソシエイト
    西村あさひ法律事務所・外国法共同事業
    東京
    Tel: +81 3 6250 7529/+81 90 4175 5221
    Email: t.miyazeki@nishimura.com

    現行の金融商品取引法では、上場会社の特定の株式取得については、公開買付け(TOB)手続を通じて行われることが求められています。これには以下のケースが含まれます。

      1. 買付者が60日間に市場外取引で10人を超える株主から株式を取得し、その結果として持株比率が5%を超える場合
      2. 買付者の持株比率が市場外取引または市場内取引(立会外取引)による取得の結果として、3分の1を超える場合(3分の1ルール)

    2024年5月15日に公布された「金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律」により、企業は以下の点に従う必要があります。

      1. 3分の1ルールにおけるTOBの基準が30%に引き下げられます。
      2. この新基準は市場内取引(立会取引)にも適用されます。その結果、原則として持株比率が30%を超える取得は、TOBを通じて行う必要があります。

    これらの改正は、他の法域でのTOB規制の基準等を参考にしながら、企業の企業支配権やその関連事項に影響を及ぼす、証券取引の透明性と公正性を確保・向上させることを目的としています。改正の施行日は政令で定められ、改正の公布日から2年以内となります。

    開示

    Momoe kemoto
    池本百惠
    アソシエイト
    西村あさひ法律事務所・外国法共同事業
    東京
    Tel: +81 3 6250 7702/+81 80 6519 2481
    Email: m.ikemoto@nishimura.com

    上場子会社の開示:投資家からは、少数株主の保護やグループ・ガバナンスの透明性が投資判断に不可欠であるにもかかわらず、多くの上場企業における上場子会社や持分法適用会社に関する現行の開示は十分でないとの指摘がなされています。

    これを受け、東京証券取引所(以下、東証)は2023年12月、親子上場や、持分法適用会社関係にある上場企業を対象としたガイダンスを公表しました。このガイダンスでは、投資家が上場企業のコーポレートガバナンス情報を比較しやすくするため、コーポレートガバナンス報告書に記載すべき推奨開示項目や重要ポイントとして、以下が挙げられています。

      1. グループ・ガバナンスに対する会社の考え方や方針
      2. 上場子会社を維持する根拠
      3. これら子会社の実効的なガバナンスを確保するための施策
      4. 少数株主の保護を目的とした、親会社からの独立性を確保するための方針や取り組み

    東証は上場企業に対し、これらの情報をコーポレートガバナンス報告書で開示することを推奨しています。

    2025年2月、東証は日本および海外の投資家の意見を踏まえて、「親子上場等に関する投資者の目線」を公表しました。東証は上場企業に対して、グループ・ガバナンスや少数株主保護に関する課題についての対話を促し、透明性の向上を求めています。

    重要な契約および株式持ち合いの開示:「企業内容等の開示に関する内閣府令」および「特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令」が改正され、原則として2025年3月31日以降に終了する事業年度の有価証券報告書には、「重要な契約等」および株式持ち合いに関する情報の開示が求められることとなりました。

    この改正は、日本の開示基準が同様の枠組みを持つ他の法域と比べて不十分であるとの懸念に対応し、「重要な契約等」の開示範囲を明確化するものです。改正後の規則では、有価証券報告書等の開示書類に以下の3つの「重要な契約等」のカテゴリーを含めることが明確に求められています。

      1. 企業と株主間のコーポレートガバナンスに関する合意
      2. 企業と株主間の、当該株主が保有する株式の処分または取得に関する合意
      3. 財務コベナンツ

    上場企業はまた、過去5事業年度の間に保有目的が「株式持ち合い」から「純投資」へと変更された株式持ち合い(純粋な投資目的ではなく、事業関係の維持や買収防衛などの戦略的理由で保有される株式)について、詳細な情報を開示することが求められています。この要件は、一部の企業が実質的には株式持ち合いの目的で株式を保有しているにもかかわらず、保有目的を「株式持ち合い」から「純投資」に変更していることへの懸念を反映しています。

    追加で求められる開示事項には、発行者名、保有株式数、貸借対照表上の評価額、保有目的が変更された事業年度、変更理由、今後の保有または売却に関する方針が含まれます。コーポレートガバナンス報告書にも企業の株式持ち合い方針を含める必要があるため、同様の開示が求められます。

    株主との対話の開示:企業と投資家の建設的な対話が企業経営の改善において重要性を増していることを踏まえ、2023年3月時点で、東証はプライム市場に上場するすべての企業に対し、前事業年度の経営陣の株主エンゲージメント活動に関する情報の開示を求めています。

    プライム市場上場企業は、以下の情報を開示することが期待されています(ただし、以下の情報のために特定の開示書類は指定されていません)。

      1. 株主との対話を行った主な責任者
      2. 対話を行った株主の概要
      3. 対話を担当した企業スタッフの担当分野
      4. 主な議論のテーマおよび株主から提起された関心事項
      5. 株主のフィードバックが経営陣や取締役会にいかに伝達されたか
      6. 株主のフィードバックを踏まえて取り入れられた事項

    サステナビリティおよびESG

    ジェンダー多様性:2023年3月31日以降に終了する事業年度の有価証券報告書には、新たに「サステナビリティ情報」セクションが設けられ、女性管理職比率や男女間賃金格差などの多様性指標の開示が義務付けられています。

    2023年6月13日に、内閣府男女共同参画局が公表した「女性版骨太の方針2023」に沿い、東証は2023年10月にプライム市場上場企業向けの上場規則を改正し、以下の目標を導入しました。

      1. 企業は2025年をめどに、1人以上の女性役員を選任するよう努める
      2. 企業は2030年までに、女性役員の比率を30%以上に引き上げるよう努める
      3. これらの目標を達成するための行動計画を策定し、開示することを企業に推奨する

    気候変動:2025年3月、日本の財務会計基準機構の内部組織であるサステナビリティ基準委員会は、日本初のサステナビリティ開示基準を公表しました。これには、

      1. サステナビリティ開示基準の適用、
      2. 一般開示基準、
      3. 気候関連開示基準が含まれます。

    これらの基準は国際的な整合性を持たせるよう設計されており、IFRSサステナビリティ開示基準を参考に策定されました。まずは、東証のプライム市場に上場している、時価総額の大きい大企業から段階的に導入される予定です。特に、グローバル投資家との建設的な対話を重視する企業に対して、2026年3月31日以降に終了する事業年度から適用されます。

    コーポレートガバナンス報告書でも、気候関連の開示がより詳細に展開されていくことが期待されています。

    Nishimura & AsahiNISHIMURA & ASAHI (GAIKOKUHO KYODO JIGYO)
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    Tokyo 100-8124, Japan
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