フィリピンにおける人工知能と関連法

By Nilo T Divina • Jay-r C Ipac/DivinaLaw
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フィリピンは、188カ国の人工知能(AI)の準備状況を評価する「政府AI準備指数2024」で、65位から56位に順位を上げました。

Nilo T Divina
Nilo T Divina
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DivinaLaw
マカティ市
Email: nilo.divina@divinalaw.com

Oxford Insightsが発表するこの指数は、3つの主要な柱と10の要素、さらに40の指標に基づいて評価するものです。この3つの柱とは、「政府」「技術セクター」「データとインフラ」を指します。

フィリピンは3つの柱の一つ、「政府」の柱で100点満点中74.49点(65.43点から上昇)という最高得点を獲得し、次いで「データとインフラ」の柱でも62.45点(56.13点から上昇)を獲得しました。

しかし、「技術セクター」の柱では遅れをとっており、スコアは38.58点(34.38点から上昇)にとどまっています。これらのスコアは、同国の新たな技術に関連する法的および政策的分野での最近の取り組みを、正確に反映したものになっています。

戦略的ロードマップ

貿易産業省(DTI)はAI導入の障壁に対処するため、「国家AI戦略ロードマップ2.0」を発表しました。このロードマップには、AI倫理やガバナンスなどの最新のテーマが組み込まれています。

この新たなロードマップの下、フィリピンは、国の国内総生産(GDP)の1%を研究開発に充てるというユネスコの推奨に応えるために、研究開発の国家予算の増額を優先させています。

また、ロードマップには、以下の5つを含む、7つの戦略的重要課題が概説されています。

    1. 堅牢な常時接続のネットワーク環境の構築、
    2. データアクセスと価値抽出の改善、
    3. 教育変革と将来のAI人材の育成、
    4. 倫理的配慮を優先するAIエコシステムの促進、
    5. AIの研究開発(R&D)の深化とさらなる推進。

これら最近の取り組みは、以前からAI分野で取り組まれてきた政策、つまり2022~28年の「科学技術省AIロードマップ」、DTIの(最初の)「国家AI戦略ロードマップ」、さらには2023~28年の「フィリピン開発計画」の中にある数多くの政策声明など、新たな市場を切り開き、新製品や新サービスを提供するために、新たなデジタル技術のポテンシャルを追求し続けることの重要性を訴えてきた政策を補完するものです。

戦略的重要課題の具体的取り組み

Jay-r C Ipac
Jay-r C Ipac
パートナー
DivinaLaw
マカティ市
Email: jayr.ipac@divinalaw.com

第1と第2の戦略的重要課題については、国家経済開発庁(NEDA)は「Konektadong Pinoy(接続されたフィリピン人)法案(上院法案2699)」の可決を推し進めています。本法案は、オープンアクセス政策を採用することで、通信分野におけるデータ伝送サービスの競争を促進させることを目指したものです。

この法案では、オープンアクセスは、データ通信業界の参加者が透明性のある方法で公正で合理的、非差別的な条件のもと、データ通信ネットワークとその関連施設を使用できるシステム、と定義されています。

政策立案者は、ASEAN地域ではインターネットサービスが最も高額なものの一つのままであり、また、過去数年間でインターネット速度は大幅に改善されたものの、依然として世界平均を下回っていると指摘しています。

第3の戦略的重要課題に関しては、人的な面でも、デジタル技術とイノベーションを伴う労働力という面でも、スキルと競争力を向上させるために、「2022年フィリピンデジタル人材競争力法(共和国法第11927号)」が近年制定されました。

もう一つ、「第2次議会教育委員会法II(共和国法第11899号)」は、教育にデジタルトランスフォーメーションを導入することを優先し、デジタルリテラシーの促進と、必要とされるコアコンピテンシーおよび21世紀型スキルの開発を通じて、教育改革を制度化することを目指した法律です。

しかし国は、教育や研修システムが労働市場で求められるスキルとはいまだ合致しておらず、スキルのミスマッチが依然として差し迫った課題であると認識しています。

そのため、昨年初めに「タタック・ピノイ(誇り高きフィリピン人)法」が制定され、

    1. 人的資源、
    2. インフラ、
    3. 技術とイノベーション、
    4. 投資、
    5. 健全な財務管理の5つの具体的な柱に沿った「タタク・ピノイ戦略(TPS)」が策定されました。

この法律に基づいて、タタック・ピノイ投資とプロジェクトは、いくつかの適格基準に基づいて「戦略的投資優先計画(SIPP)」に組み込まれることになります。また、正式に特定されたタタック・ピノイ投資活動とプロジェクトはすべて、自動的に優先活動リストに載ることになります。

特に第1の柱(人的資源)の下では、産業界の需要に合ったプログラムの開発を通じて、産学連携を促進するロードマップが作成される予定です。またこれにより昨年末、「産学マッチング(AIM!)プログラム」が立ち上がりました。

第4の柱(投資)については、投資委員会は2022年、教育分野を強化し国の労働力の能力向上を図るために、SIPPを改訂しました。

この改訂により、外国の高等教育機関が地元の事業者――少なくとも60%がフィリピン人所有である必要がある――と提携して分校を設立することが可能になり、教育都市の設立もまた、認められるようになりました。

これらの取り組みを統合することで、2022年のSIPPの下で、ロボット工学やAIを含む、第四次産業革命の高度なデジタル生産技術を対象とする研究開発や活動が、すでに、いくつかの税制上の優遇措置の対象となる可能性のある優先活動リストに載っていることを考慮すると、非常に重要なことだと言えるでしょう。

第4の戦略的重要課題(倫理的考慮を優先するAIエコシステムの促進)に関連して、情報通信技術省と公務員委員会は、「政府における人工知能(AI)の倫理的かつ信頼できる使用のための原則とガイドライン」と題した共同覚書草案について、パブリックコメントを募集しています。

この草案は、フィリピンがOECDのAI原則、UNESCOのAIに関する国際基準、ASEANのAIガバナンスガイドを採用していることを確認しつつ、AIシステムの使用について以下の条件を満たすべきであるとしています。

    1. 正当な理由があること、
    2. 使用される場面に適したものであり、必要な限度を超えないこと、
    3. 規則や規制に従い、正当な目的を達成するために適度にバランスがとれていること。

一方で、教育機関がAIの将来的な利点を探求し活用し続ける中、教育省は教育機関に対して、AIツールを責任を持って使用するよう奨励していますが、教育分野へ向けたAIのガイドラインはまだ策定されていません。

第5の戦略的重要課題(AIの研究開発)については、DTIはAI駆動型R&Dの拠点となるAI研究センターを立ち上げました。

プライバシーとAI

一般的な認識とは異なり、フィリピンにはAIの使用を規制する法律が存在しますが、それは非常に限定的な意味であり、データプライバシー/データ保護の観点から行われています。

この観点と一致して、国家プライバシー委員会(NPC)は2024年12月、トレーニング、テストを含む開発や展開中の個人データ処理AIシステムに対して、データプライバシー法(DPA)の適用に関する勧告を発表しました。

LLM(大規模言語モデル)のトレーニングに使用されるデータの多くが、公開されているインターネットソースから得られていることから、この勧告は、公開されている個人データが、公開されているから、またはアクセス可能であるから、という理由だけで法的保護を失うことはないと再度強調しています。

さらに重要な点として、データ管理者はAIシステムの開発および展開において、個人データの責任ある倫理的な取り扱いを確保するために、適切かつ効果的なガバナンス体制を構築する必要があります。また管理者は、権限を持つ担当者による、意味のある人間の介入を可能にする仕組みをつくらなければなりません。

加えてこの勧告は、管理者がデータ主体に対し、その権利や自由に重大なリスクをもたらす場合、自動的になされた決定に対して異議申し立てを可能にする仕組みの導入を求めています。

注目すべき点として、この勧告では「sole(唯一の)」または「solely(単独で)」という言葉が使用されておらず、これは以前のNPCの自動処理/決定に関する発表とは異なり、決定が完全に自動的になされたものであるかどうかにかかわらない可能性を示唆していることです。

しかし、データ主体が異議の申し立てができるのは、「データ主体の権利や自由に重大なリスクをもたらす」ような自動的になされた決定が前提となっており、これは以前の勧告の発表で用いられた「重大な影響を与える、または与える可能性がある」という表現よりも限定的になっています。

注意すべきことは、この発表は単なる勧告であり、関係する事業者や個人に対してガイドラインとして機能するだけである、ということです。賢明にもNPCは、データ主体の、「関連する論理についての意味のある情報、およびそのような[自動的になされた]処理がデータ主体に与える重要性や想定される結果」という「情報を得る権利」が、AIの文脈でどのように適用されるかという点には言及していません。これはさらに深い問題にかかわるグレーゾーンと言えるでしょう。

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