中国のフィンテック規制――過去10年間の動向

    By Xiaojia (Shelly) Sun、JunHe
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    中国のフィンテック規制は、金融機関の規制動向を見ることで最も明確に理解できますが、そこで生じるのが「技術は誰の役に立つべきか」と「その目標をどのように達成すべきか」という2つの疑問です。

    中国におけるテクノロジーと金融の統合、金融におけるテクノロジーの変革力について語る際、アリペイの運用を担う企業、アント・フィナンシャルに触れないわけにはいきません。

    アント・フィナンシャルの最初の資金調達は2014年に行われました。この時期は世界的に投資家のフィンテックへの関心が高まっており、2014年12月のレンディングクラブのIPOはそのピークを象徴する出来事でした。「インターネット金融」を中心に、プライベート・エクイティ投資やIPO活動が活発に行われていました。

    振り返ってみると、多くの企業が「インターネット金融」という言葉を利用して、承認やライセンスを必要とする金融サービスに従事していたことは明らかです。当時の中国は、金融イノベーションに対して驚くほど寛容でした。

    ターニング・ポイント

    Xiaojia (Shelly) Sun, JunHe
    Xiaojia (Shelly) Sun
    パートナー
    JunHe
    北京
    Tel: +86 10 8553 7929
    Email: sunxj@junhe.com

    しかし、2017年後半、ターニング・ポイントが訪れました。2017年7月14日~15日に開催された第5回全国金融工作会議では、「金融システムのリスクを防ぐための金融規制の強化とインターネット金融規制の強化」が強調されました。

    これを受けて、一連の規制により金融分野への監督が強化されました。例えば、2017年12月1日に「キャッシュローン」事業の規制と是正に関する通知が発表され、5年間の急速な「インターネット金融」の成長が事実上終焉を迎えました。また、第5回全国金融工作会議では、金融規制を調整するために国務院の下に金融安定発展委員会を設立することが提案されました。これにより、それまで縦割りで行われていた各省庁間の会議の仕組みが更新・強化され、細分化された規制環境での調整が進められました。

    2018年には、国務院により中国銀行業監督管理委員会と中国保険業監督管理委員会が統合され、中国銀行保険監督管理委員会が発足しました。また、中国証券業監督管理委員会はそのまま維持され、これら各規制機関の役割が整理・最適化されました。

    その後、大規模なインターネット金融企業に対する規制強化や独占禁止の調査が常態化しました。2023年3月には「党と国家の機構改革計画」が発表され、新たな金融規制システム改革が開始、「一委一行一局一会」として知られる枠組みが形成されました。

    国務院の傘下にある金融安定発展委員会は、中国の最高レベルの金融規制機関であり、金融の安定と発展に関連する主要な問題を調整し、決定する責務を負っています。中国人民銀行は中央銀行として、金融政策の策定と実施、金融システムの安定維持を担います。国家金融監督管理総局は、中国のマクロ・プルーデンシャル規制機関であり、金融市場の監督・管理や投資家の保護を担当しています。中国証券業監督管理委員会は証券市場の監督・規制を行っています。

    厳格化する規制

    2017~2024年にかけては、金融規制が徐々に厳格化する傾向が見られました。特に注目すべきは、インターネット・テクノロジー大手と金融サービスの関係についてです。

    前述のように、2014年にアリペイとアント・フィナンシャルが登場し、インターネット・テクノロジー大手が伝統的な金融機関の既得権益に大きな影響を与えることが浮き彫りになりました。

    人々がインターネットのデジタルやオンラインのチャネルにますます依存するようになる中、デジタル・プロファイリングやビッグデータの活用で、これまで金融サービスを受けられなかった顧客にまでサービスが届けられるようになり、金融サービスにおける情報の非対称性の問題が解消されつつあります。

    さらに、インターネット上のトラフィックが非常に価値のある広範なリソースとなる中、インターネット・テクノロジー大手と金融サービスの組み合わせは、間違いなく伝統的な金融エコシステムを揺るがし、リソースと利益の再配置を進めていくでしょう。

    2020年12月11日、中央政治局は初めて「独占禁止を強化し、無秩序な資本拡大を防ぐ」ことを提案しました。これによりプラットフォーム企業は、規制ガイドラインの下で公的・民間、両面での経済発展を支援すると同時に、イノベーションを図り、国際競争力を強化することが奨励されるようになりました。

    2021年12月10日、中央経済工作会議は次のような新たな原則を導入しました。「資本の生産要素としての積極的な役割を活用しつつ、その負の影響を効果的に制御する。無秩序な資本成長を防ぐ効果的な監視を法的に強化するために、資本のための『信号機』を設置する」

    2020年10月21日、中国証券業監督管理委員会はアント・グループのスター・マーケットでのIPO登録を承認し、2020年11月5日の上場が予定されていました。しかし11月3日、上海証券取引所は「関連規定に違反しているため、アント・グループの上場を一時停止する」と発表しました。

    2020年12月26日、中国人民銀行、中国銀行保険監督管理委員会、中国証券業監督管理委員会、国家外貨管理局は共同でアント・グループと面談し、インターネット・プラットフォームによる金融サービスは今後、規制監督下に置かれることを示しました。それから約4年が経過した現在も、規制の調整と対話が続いています。

    2021年以降、中国はサイバーセキュリティ、データセキュリティ、個人情報保護の分野に力を入れていますが、中でも特に国際データ転送に関して規制を強化しています。

    総じて言えば、現在の金融テクノロジーのイノベーションは主に伝統的でライセンスを持ち、そして大半は国家・地方政府が所有する金融機関によって主導される方向へと回帰しつつあります。これが中国のフィンテック規制を理解し予測するための鍵となります。

    暗号通貨の厳格な取り締まり

    もう一つの重要なポイントは、暗号通貨の規制です。2013年12月、中国人民銀行を含む5つの省庁は「ビットコインのリスク防止に関する通知」を発表して、ビットコインは法定通貨の条件を満たしていないことを明確にし、金融機関や決済機関がビットコイン関連業務を行うことを禁止しました。

    この通知では、ビットコインは通貨当局によって発行された通貨ではなく、法定通貨の地位や強制通用力などの条件を欠いているため、実際の通貨ではないというビットコインの性質を明らかにしています。また、ビットコインは通貨と同じような法的地位を持たない独自の仮想商品であり、通貨として流通することはできないともしています。

    しかし、インターネットを介した商品取引に個人として自己責任で参加することは自由です。

    2017年9月、中国人民銀行を含む7つの省庁は共同で「トークン発行による資金調達のリスク防止に関する公告」を発表し、ビットコインを含む仮想通貨の取引活動を全面的に禁止し、国内のビットコイン取引プラットフォームを閉鎖しました。

    中国人民銀行、国家ネットワーク情報弁公室、最高人民法院などの機関は、仮想通貨取引の投機に関連するリスクを防止し対処するための通知を発表しました。外国の仮想通貨取引所がインターネットを通じて中国国内の住民に提供するサービスも、違法な金融活動と見なされます。

    外国の仮想通貨取引所と提携している国内の関係者、または仮想通貨関連業務に従事していることを知りながら、または知っているべきでありながら、それでもマーケティング、決済処理、技術サポートなどのサービスを提供する者は、法的責任を問われることになります。

    ブロックチェーンの支援

    民間の暗号通貨を厳しく管理する姿勢を見せているにもかかわらず、政府は効率を向上させる手段としてブロックチェーン・テクノロジーを支持しており、中央銀行デジタル通貨の発行に向けて積極的に取り組んでいます。2024年10月18日、中国人民銀行は「2023年金融技術発展賞」の受賞者を発表し、多くの分散型テクノロジーとブロックチェーン・テクノロジーを用いたアプリケーションを表彰しました。2016年12月、国務院の「第13次5カ年国家情報化計画」には、ブロックチェーンは新興技術として盛り込まれており、政府主導でブロックチェーン開発の取り組みが始まったことがわかります。2018年5月、中国科学院と中国工程院の院士会議で習近平国家主席は、ブロックチェーン・テクノロジーは急速に進歩していると述べ、ブロックチェーン開発が新たな段階に入ったことを示しました。

    さまざまな地方政府が積極的にブロックチェーンの応用と産業の発展を推進しています。限定された統計ですが、2017年には9つの省と都市がブロックチェーンの産業の発展を支援する政策を発表しています。

    2018年以降、30以上の省政府と市政府がブロックチェーンの応用を支援し、地元のブロックチェーン産業の成長を促進するために、40以上の政策措置を発表しています。中央政府と地方当局からのこれらの強力な支援により、ブロックチェーン開発に望ましい政策環境が整備されてきました。

    重要なポイント

    進化する金融技術の分野において、中国の規制への取り組みは、イノベーションを促進しつつ、新たな金融リスクを管理するというバランスの取り方の難しさを示しています。

    国家が、伝統的な認可された金融機関が主導するモデルに向かって進む中、焦点は依然として、安全で安定し透明性のある金融エコシステムの構築にあります。これにより持続可能な成長への道が拓かれ、世界的な競争力の向上が期待できるでしょう。

    中国のフィンテックの未来を占えば、マルチモーダル・データ処理、インテリジェント・アプリケーション、クラウド・ネイティブ・ソリューションなどの分野を引き続き優先的に力を入れていくでしょう。セキュリティやプライバシー、そしてAIやブロックチェーンのような破壊的テクノロジーを管理して利用することを重視するために規制を強化することは、金融の分野を強靭にしようという強い決意を反映しています。

    堅牢な規制の枠組みの中でイノベーションを推し進めることで、中国は、世界的な金融の動向に適応しながら国家的な経済目標を果たしつつ、テクノロジーの進歩が公共の利益に資することを確かなものにしようとしています。

    JUNHE
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