Helmsmanの企業・銀行・金融部門責任者、Lynette Koh氏との質疑応答

質問：Helmsmanの企業・銀行・金融分野の業務についてご説明いただけますか？特別な、あるいは成果を挙げた事例のうち、お話しされたいものはありますか？

回答：銀行、貿易、海運の各業界では、世界的に、よりクリーンな燃料への移行や炭素化に向けての取り組みが続いています。こうしたなか、再生可能エネルギーや低炭素化プロジェクト、排出量取引のための資金調達に関して寄せられる情報が増えています。これらはきわめて興味深く、発展しつつある領域であり、私も注意深く目を配っています。

私はHelmsmanに入所する以前は、みずほ銀行アジア・オセアニア業務部で法務・業務管理の責任者を6年超にわたり務めていました。シンガポールの銀行業界は厳しい規制下にあります。そのような業界での経験を通じて、借り手と貸し手双方のために市場の保護と安定化を図るという規制の意図について、理解を深めることができました。

Helmsmanでは、オルタナティブ（代替）金融の仕組みや諸問題について、日頃からクライアントにアドバイスしています。その際、銀行業界での経験を活かして新たな商品や仕組みを調査し、従来とは異なる構造の金融商品のメリットを活用したいと考えるクライアントの要望にお応えしています。

当事務所では、先般、バイオ燃料企業の資金調達について助言しました。これは借り入れによる単純な資金調達ではなく、エクイティと証券を用いた、シンガポールなど当地域の複数の国にわたる複雑な構造でした。私たちのクライアントは、このトランザクションの完了をもって、東南アジアで初となるバイオ燃料のための資金調達を成功させたのです。

質問：来年以降のHelmsmanの成長について、どのように予想していますか？

回答：商品取引と海運の分野の金融が従来、当事務所の専門分野です。当事務所は、設立当初、商品取引と海運を専門としていましたので。今では複数の領域で法務サービスを提供していますが、商品取引と海運の金融は、依然として、Helmsmanの主要業務です。

しかしながら、私個人は、事務所内での経験と銀行業界のネットワーク、さらに大企業や他の金融機関をクライアントとしてきた経験も踏まえ、銀行や金融機関だけではなく大手企業や多国籍企業のためにも、銀行業務や金融の領域にとどまらず、業務を行っています。

私のチームは企業の一般的な案件を対象としていますが、一方で、シンガポールなどでM&Aによる業容の拡大・拡張を望む、多様なクライアントを支援しています。Helmsmanの私のチームでは、人員の増加が続いており、今年後半にも新規採用者がチームに加わる予定です。チームが大きくなれば、より多くのクライアントの様々な要望に応え、支援を提供し、共に取り組む体制が整います。

また、当事務所は先般、シンガポール最大手銀行にクライアントになっていただいたことをお伝えできて嬉しく思います。これは、私たちのような設立から年数を経ていない事務所にとっては目覚ましいことです。

質問：あなたの取り扱い分野に関連する、銀行：金融業界の最近の動向についてお聞かせください。

回答：コロナ禍を契機として、グローバルなサプライチェーンが、私たちの世界がパンデミックを乗り越えて続いていくために不可欠な生命線であることが明らかになりました。しかし、貿易金融業界の業務プロセスには依然として、紙ベースの書類と手作業による処理が多々残っています。石油取引会社ヒン・レオン・トレーディングの損失隠し事件を覚えている人は多いと思います。この事件では、銀行や取引会社など多くの関係者が影響を被り、予想もしなかった危険にさらされ、紙ベースの業務プロセスに伴うリスクを人々の記憶に刻むことになりました。

最近シンガポールでは、電子取引法が改正されたことを受け、ペーパーレス・トレーディング・ソリューションのプロバイダー、essDOCSが、シンガポールの法制度下で初めて、電子船荷証券を実用化しました。取引プロセスのデジタル化により、効率化を進めることができる一方で、関係者が資金洗浄などの目的のために貿易金融の紙ベースのプロセスを悪用するリスクを低減させることができます。

法務業界、そして世界が見守るなか、この分野では急速な成長が続くでしょう。